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インタビュー

平成29年度時差Biz推進賞-プロモーション部門受賞

平成29年度時差Biz推進賞

プロモーション部門受賞

東京急行電鉄株式会社

受賞理由

お客さまの快適な時差通勤を応援するため、田園都市線で臨時特急列車「時差Biz ライナー」を運行し、混雑緩和プロジェクト「グッチョイモーニング」を展開した。「時差Biz ライナー」は、オフピーク時間帯に短い所要時間で都心に向かうことができ、新たな取組として注目を集めた。「グッチョイモーニング」は、お客さまが①「乗車時間を選ぶ」②「移動手段を選ぶ」③「働く場所を選ぶ」というコンセプトで、①東急線アプリでのお得なクーポン配信②バスも!キャンペーン③サテライトシェアオフィス「NewWork」の朝利用無料化を実施した。

混雑緩和プロジェクト「グッチョイモーニング」、臨時特急列車「時差Biz ライナー」で平成29年度時差Biz推進賞(プロモーション部門)を受賞した東京急行電鉄。恒常化した混雑を解消すべく、往来から推進してきた都心方面への輸送力増強とともに、利用者に“乗車時間”“移動手段”“働く場所”を選んでいただくという新たな視点で、時差Bizに取り組む。 一方で、鉄道事業者としてではなく、時差Biz参加企業(利用者)としての同社をみると、“シェアオフィス”や“時差出勤”など働き方改革に取り組んでいる。「混雑緩和」と「働き方改革」はいずれも時差Bizのキーワードだ。同社で、この両輪に関わる担当者のお二人に話を伺った。

時差Bizに参加した目的

鉄道事業本部 事業戦略部 企画課 課長 小里 好臣様
鉄道事業本部 事業戦略部 企画課
課長 小里 好臣様

鉄道事業者として混雑緩和に貢献すべく、列車の増発や駅の整備など具体的な取組を行ってきた同社。近年、それと同時に「働き方改革」に着目した試みにも挑戦してきた。例えば、都心にオフィスを構える企業を訪問し、働き方改革の一環として、スライド勤務などオフピーク通勤につながるような施策の導入を呼びかける独自の活動を展開していたという。
「しかし企業間の取り決めとなると、様々なハードルが発生します。制度を導入してもらえたら、何かしらのインセンティブを付与するなど提案もしたのですが、当社一社だけの取組では限界がありました。そんなとき、東京都から時差Biz実施の発表があり、快適通勤を社会全体に働きかけるムーブメントであることを知りました。ぜひ連携して活動を行いたい。そう考えて、参加を決定したのです」(小里課長)。

経営企画室 企画部 イノベーション推進課 サテライトシェアオフィス事業 「NewWork」担当 プロジェクトリーダー 永塚 慎一様
経営企画室 企画部 イノベーション推進課
サテライトシェアオフィス事業
「NewWork」担当
プロジェクトリーダー 永塚 慎一様

ライフ&ワークスタイルの革新という大きな課題は、社会全体が変化しなければ実現しない。そこに働きかけられるのが時差Bizであり、そのムーブメントには「社会の流れ」を変える力が備わっていると同社は判断したのである。

具体的な取組内容

同社が展開するサテライトシェアオフィス 「NewWork」の内観(NW自由が丘店)
同社が展開するサテライトシェアオフィス
「NewWork」の内観(NW自由が丘店)

昨年度の時差Biz集中取組期間中には、より多くの利用者に時差通勤を選択していただくべく、相互直通運転を行う東京メトロと連携し田園都市線での臨時特急列車「時差Bizライナー」の運行を実施した他、時差Bizによる交通広告ジャック、ならびに時差Bizと連動した混雑緩和施策「グッチョイモーニング」を実施した。
「時差Bizライナーは、オフピーク時間帯に短い所要時間で都心に向かうことができ、新しい取組としてテレビ局等のマスコミにも注目されました。時差Bizの認知に貢献できたのではないでしょうか」(小里課長)。
一方、利用者とともに混雑緩和を目指したプロジェクトが、「グッチョイモーニング」だ。
「お客さまの選択肢の幅が日々の時差通勤、ないしは時差Biz全体の推進に繋がると考えました。そこで、昨年度の時差Biz期間中は、東急線アプリでのお得なグッチョイクーポンの配信や当社運営のサテライトシェアオフィス「NewWork」の朝利用料無料化、バスを活用した施策など、幅広い選択肢を提供したのです」(小里課長)
「当社が運営しているサテライトシェアオフィス「NewWork」は日本全国に約80か所あり、いずれも駅近くに位置しています。もちろん、会員の方はすべての店舗を利用可能です。フリーアドレス型の席だけでなく、会議室やテレフォンブースも用意していますので、ある程度機密性の高い仕事もカバーできる形です。
各席のコンセントやWi-Fi環境、複合機などビジネスで必要な環境は一通り揃えています。柔軟な働き方を実現するために、ぜひ様々な業種の方に活用していただきたいです」(永塚プロジェクトリーダー)
平成30年6月現在も東急線アプリによる「グッチョイクーポン」配信や「バスも!キャンペーン」は継続して実施され、利用者から好評の声を多数いただいているという同社。平成30年7月9日からスタートする時差Biz集中取組期間に向けても、様々な施策を計画中だという。

時差Bizに期待すること

鉄道事業やサテライトシェアオフィス事業で行なわれる多様なキャンペーンなどの取組を、時差Bizのムーブメントに乗せ広く周知させていく。これは同社が「今」求める時差Bizへの参加効果だ。しかし同時に、「これから」の社会に響く効果にもまた、大きな期待を寄せている。
「『より効率的かつフレキシブルな働き方ができる社会へと変えていこう』、そう呼びかけて各企業の意識改革のきっかけづくりに結びつけるのは、一民間企業の力だけでできることではありません。だからこそ、東京都が持つ影響力、発信力を活用して、社会に変化をもたらしてほしいと望んでいます」(小里課長)。
「シェアオフィスでも、早朝から仕事をスタートして夕方早めに帰るという利用者は確実に増えています。これは、働き方を変えようという流れが世の中にできつつあることの表れ。それを定着させてくれるのが、時差Bizなのではないでしょうか」(永塚プロジェクトリーダー)。
今後も、鉄道事業者としてさらなる快適通勤を、一企業として働き方改革を推進していく同社。人々のライフ・ワーク・バランスの実現に向けて進むその足は、留まることなく前へと進んで行くだろう。

混雑緩和策「グッチョイモーニング」

同社の混雑緩和策「グッチョイモーニング」は、「良い選択」という意味である、「Good Choice(グッドチョイス)」の短縮形と「Morning(モーニング)」を掛け合わせた言葉で、朝時間帯の多様な選択肢の中から、お客さまご自身が「最適なチョイス(選択肢)を選んでいただく」ことを目指した混雑緩和プロジェクト。働く場所、交通手段、乗車時間の3つにおいて、朝の選択肢を提供する。
「グッチョイモーニング」の1メニューである、国道246号を運行する東急バスでの通勤を推奨する「バスも!キャンペーン」は、田園都市線の池尻大橋駅~渋谷駅間を含む定期券の所持者が対象。追加料金不要、運行本数の多さなどを理由に、1日400人以上が通勤手段をバスに変えたとの結果がすでに出ている。また、時差Biz期間からの新しい試みとして、東急線アプリ経由でお得な割引クーポン(=「グッチョイクーポン」)を配布し、利用者の朝型勤務や朝活を応援し続けている。
「これらのキャンペーンをきっかけに『お試し』でライフスタイルを少しだけ変更、その効果を実感したうえで、その人なりの働き方を形づくっていただけたらと思います」(小里課長)。