一般社団法人町田市観光コンベンション協会 様
町田市の魅力を発信し、誇りあるまちへ
一般社団法人町田市観光コンベンション協会は、「自然・歴史・文化・産業を活用した心豊かな観光まちづくり」を目指し、観光プログラムを展開する地域の担い手として、町田市の魅力を発信し観光振興策の推進に取り組んでいます。
本来であれば、 接客や現場対応など「対面」が基本となる観光事業ですが 同協会では工夫を凝らすことでテレワーク体制を実現させました。どのようにして観光業におけるテレワークの体制を築き上げたのか。また、そこから見えた可能性や働き方の柔軟性について、専務理事の亀田様にお話を伺いました。

町田の魅力を発信する観光拠点
当協会は、2008年に設立され、今年で17年目を迎える一般社団法人です。従業員数は約17名で、約半数が観光案内所と物販業務に従事し、残りの半数が事務局運営を担っています。業務内容は多岐にわたり、観光に関する情報提供やプロモーション、町田市の観光に関するお電話でのお問い合わせの応対、観光マップの作成に加え、観光案内所における土産物・特産品の販売も行っています。
さらに、町田市を訪れる方々に向けた各種ツアーの企画・提供のほか、町田市からの補助事業として観光振興事業、町田薬師池公園四季彩の杜や町田シバヒロなど、地域の魅力向上に寄与する幅広い取り組みも推進しています。
町田市は東京都で9番目に誕生した市で、現在約43万人が暮らす緑豊かな街です。古くから商都として繁栄してきた歴史があります。最近では、サッカーのFC町田ゼルビアのホームタウンとしても知られ、サッカー観戦に訪れるサポーターへの観光PRにも力を入れています。
テレワークを検討・導入したきっかけ
スムーズビズ導入の最大のきっかけは2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言でした。 それ以前から、東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催に合わせた混雑緩和の取り組みとして、時差出勤やテレワークの導入の検討を進めてはいました。しかし、感染の急速な拡大を受け、事態は一変します。十分な準備が整っていない状況ではありましたが、従業員の安全確保を最優先し、テレワークに踏み切ることとなりました。
手探りで始めた働き方の見直し
設備や仕組みも十分に整っていない中でスタートしたテレワークですが、必要なツールの用意もなく、さらに当時は決裁類も紙決裁が中心だったのでその整備も迫られ苦労しました。
経験がない状態で、どのように仕組みを整えるのか課題は沢山ありましたが、何よりもまずは実践することを優先しました。実際にテレワークを始めてみると、運用上の課題や設備の不足が次第に見えてきました。そこでこれらをひとつずつ洗い出し、段階的に環境や仕組みを整備することで、無理なく運用できる体制を整えていきました。しかし、自分たちだけの工夫では、見直しにも限界があると感じました。
コンサルタントとともに業務を仕分け
そこで、制度の浸透や業務環境の課題を解消すべく、東京都の「テレワーク課題解決型アドバイザー」に相談し、対応できる業務の仕分けを行いました。
我々の事業はほぼ年中無休で土産物・特産品の販売や、イベントの企画開催を行っているので、どうしても対面業務が必要になります。そうした難しい対面業務はシフト制で効率化し、対応が可能な業務はシステム導入によってオンライン運用へ移行しました。
例えば、観光案内業務では地域に関する電話問合せが多く寄せられますが、代表電話への着信を担当者のスマートフォンへ転送できるシステムを導入することで、自宅からでもお客様からの電話対応が可能になりました。
その他、遠隔で自身の業務パソコンへアクセスできる仕組みを整え、資料は持ち出すことなく急遽テレワークとなった際にも、オフィスと同じ環境で業務が行える体制を築きました。

相談しやすい環境と集中しやすい環境の整備
テレワークの導入に伴う働き方の見直しにより、従業員同士のコミュニケーションの形は大きく変化しました。在宅で、誰とも話さずに行う仕事の中で、従業員の中には孤独感を覚える人や、「自分の仕事ぶりや成果が見えづらい」と不安を感じる声も上がりました。
対面だからこそ日々の疑問や困りごとをその場で相談し、すぐに解決することが当たり前の環境であったため、テレワークでも気軽に「相談しやすい環境」ができないか考えました。そこで、毎朝のTeamsを利用したオンライン朝礼や、定期的なテレビ電話でのコミュニケーション機会を設けました。
また、従業員それぞれが「集中しやすい環境」が異なることを踏まえ、サテライトオフィスなど複数の勤務場所の選択肢を整備しました。これにより、一人ひとりが安心して業務を遂行できる環境を自ら選べる体制を構築しました。
ワークライフバランスの取れた働き方改善
テレワークの導入により、従業員が状況に応じて柔軟に働ける環境が整い、ワークライフバランスの向上にもつながっています。
例えば、お子さんのインフルエンザなど感染リスクがある場合には、自宅勤務へ切り替えることで職場への持ち込みを防ぐことができ、結果として職場内での 感染拡大 を防ぐことができ 、従業員の 健康面でも良い効果が見られています。
また、交通トラブル、台風や人身事故の際にもテレワークに切り替えるなどの対応を取ることができ、緊急で自宅勤務が必要な場合でも、連絡をもらえれば問題なく対応できる体制が整っています。
そのほか、職場ではまとまった時間を確保しづらいe-ラーニングなどの学習も、自宅で進められるようになり、リスキリングを含めたスキルアップにも取り組みやすくなりました。
働きやすい環境の充実に向けて(スムーズビズがもたらした変化とこれからの展望)
接客を伴う業界でのスムーズビズの導入および推進は難しい部分もあると思います。
ですが、まずは取り組みやすい部分から導入することで、社員にとっても働きやすい環境になると考えています。
当協会では、テレワークでできる仕事、できない仕事をしっかりと分けることで、接客が伴う事業におけるスムーズビズの導入を実現させました。
導入後も、出社に対する否定的な声は特に見られず、現在も管理職を中心とした週に一度のテレワークや、交通事情や家庭の都合にあわせた働き方など、柔軟に制度を活用する姿が見られ、働く人各々の事情に応じた柔軟な働き方が、定着しています。
テレワークに伴う電気代や備品など、個人の環境に依存してしまう部分へのケアが今後の課題です。今後は、こうした支援も含めて組織としての環境整備を進め、より安心して働ける体制へと発展させていきたいと考えています。

