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インタビュー

スムーズビズ推進期間結果公表イベント

令和元年度受賞企業インタビュー

スムーズビズ推進大賞 大賞 特別賞【パイオニア賞】

?江社会保険労務士事務所
<学術研究, 専門・技術サービス業>

受賞理由

一般的に顧客に左右されやすく、紙資料が多くなりがちな「士業」における取組実施。顧客に向けて丁寧な説得を続け、電子化を促進することで、行政書類など紙ベースの印刷物を抑制し、コピー用紙・コピー機用品・ゴミを削減。また、実施した取組をホームページ等で告知・発信することによって、同業他者へのPRや啓蒙にも専念した。働き方においても、PCのセキュリティ環境を整え「完全ペーパーレス」を実現することで、様々な環境下でのテレワークを実践した。

  • ●人の流れに関する取組:テレワーク、時差移動
  • ●モノの流れに関する取組:コピー用紙・ゴミの削減
  • ●普及啓発に関する取組:他企業への働きかけ(HPでの啓発と電子取引推奨)

取組の詳細についてはこちら

全国で、およそ4万人が登録しているといわれる社会保険労務士。行政への提出書類等は、徐々に電子化が進んでいるが、書類や資料をはじめとして、ほとんどの業務が紙ベースでやりとりされているという。そんな中、同事務所では、業界でも先駆的な試みとして、顧客との契約書類や提出書類におけるペーパーレス化を推進した。電子化することで、コピー用紙やゴミ等の削減、書面を届ける郵送などの削減にもつながり、モノの流れの抑制とともに経営の効率化を促進するモデルケースにもなり得る。加えて、徹底したテレワークにより、人の流れを抑制したという面も注目される。個人事業主の小さな力でも、工夫次第で様々な取組ができると語る、同事務所代表の?江様に詳細を伺った。

スムーズビズに参加した理由

代表 ?江 修 様
代表
?江 修 様

所属する社会保険労務士会からのメールマガジンでスムーズビズの存在を知り、人の流れ・モノの流れ・普及啓発という三点なら個人事業主でもチャレンジできると考えた?江代表。その背景には、個人事業主としてもっと効率的に仕事ができないかという思いがあったという。

人の流れに関しては、ペーパーレス化を徹底すること等で事務所にいることにこだわらず、しっかりとしたセキュリティのパソコンをもって、自宅やサードプレイスでの徹底的なテレワークを実践。また、チャットやビデオ会議システム等を大いに活用し、都内の鉄道混雑時間帯である8時~10時までは、顧客訪問等の移動を行わないことを実践した。

もともと、士業は紙ベースのやりとりが多い。業務の電子化によって、コピー用紙やコピー関連用品の調達や、郵送物の削減は、モノの流れの改善に貢献した。

同事務所ホームページ上で取組について紹介し、TDMプロジェクトへの参加や電子契約での取引、訪問ではなくビデオ会議システムを利用することなどを説明して普及啓発にも尽力した。「社会保険労務士は全国でおよそ4万人います。私一人の力は微力ではありますが、こんな事例があるのだと分かれば、共感してくれる方も多いはずです。その輪を広げ、進めていけば、ビジネス上での効率アップはもちろん、時間的・空間的な節約にもつながると思いました」(?江代表)

取組に当たり苦労したこと

契約から納品・請求まで、一連の流れの電子化は難しいといわれてきた士業でペーパーレス化するにあたり、特に苦労したのはそのフロー作りと顧客の理解促進だったという。「例えば契約書の電子化は、口頭の了承が得られれば問題ないのですが、行政に提出する書類を電子化する場合には、顧客 から書面で了承を得る必要があるのです」(?江代表)

各種書類は紙で保管するという慣習に疑問を持たない顧客にとっては、電子化はただの手間にしか感じられない。そこで、例えば、書類がいつでも再発行できるメリットを、近年増えてきた台風による水害や地震などからのリスクマネジメントとして訴求。一社一社丁寧な説得で電子化を実現していった。

ペーパーレスや、テレワークに際しては、パソコンのセキュリ ティやデータ管理にも非常に気を遣ったという。「例えば、お客様の個人情報など秘匿性の高い情報も電子化され、信頼性の高いクラウド上に格納されています。何かトラブルが発生すれば大きな事故につながる可能性もあるので、そのデータにたどり着くまでには何重もの認証をかけて管理しています」(?江代表)

なお、はじめはパソコンで資料を見るのがとても苦だったという?江代表は、今回の取組前に、事務所のプリンターを廃棄したという。100%ペーパーレス化した背景には、思い切った決断もあった。

東京2020年大会のレガシーを目指す取組

今回のスムーズビズ推進期間で、自分自身でできることは、実施し尽くしたのではないかという?江代表。今後は、この経験を通して得たスムーズビズのメリットを、同業者たちに共有していき、業界内で大きなムーブメントにすることをミッションにしたいと語る。

同業者に訴求したいスムーズビズのメリットは、人の流れを変えることで得られる『仕事の効率化』。例えば移動時間がなくなるだけで、空き時間が生まれ、その時間を資料の作成や新たな顧客開拓に向けることができる。実際に、月に数人の新規顧客と面談する機会を得て、売上に繋がっているそうだ。もう一つのメリットは、モノの流れを変えることで得られる『経費削減』。具体的に、コピー用紙、コピーやプリンター機器類、郵送費、交通費等が無くなったことで、月当たり数万円の経費削減に繋がった。

もちろん、顧客に対しても、引き続き、書類を電子化することによるメリットを説明していくという。

「個人事業であっても、仕事の効率化は想像以上のものでした。私の取組を静観して見ている方も多かったのかもしれませんが、今回このような賞をいただきましたので、説得力をもってスムーズビズのメリットを周知していければと考えています」(?江代表)

スムーズビズ推進者の声

代表 ?江 修 様
代表
?江 修 様

関わった取組

テレワーク、時差移動

夏休み期間、都内にいなくても仕事ができるか試してみたくて、休養がてら長野に行ってみました。仕事をする時間は13:00~16:00と決めていたのですが、想像以上に仕事がはかどりました。セキュリティやネットワーク環境があれば、地方で仕事をすることも決して無理はないということが分かりました。
また、ペーパーレス化やテレワークを実施するようになってから、土日に仕事をすることもなくなりました。月~金の間に効率よく仕事をこなすことができるので、週末は完全にフリーです。ときには仕事がはかどり過ぎて、ウィークデーでも合間が出来てしまうほどで、新規のお客様にお会いする時間に充てることができています。
余暇を使って、東京2020大会で、近隣の品川区で開催されるフィールドホッケーも始めました。少しの工夫で、様々な利点が見えてきますね。