東亞合成株式会社
(2021年11月10日インタビュー実施)
東亞合成は、企業理念「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で 新しい幸せをあなたに届けます」のもと、企業の社会的責任を果たしつつ持続可能で豊かな社会の実現に役立つ製品の開発と提供を行っています。
当社グループが持つ化学企業としての技術や人材など多様な経営資源を最大限に活用するためにワークライフバランスの充実を図る働き方改革の一環として、テレワークの準備を行っていました。
2013年には、育児や介護のため在宅勤務規則を定め導入しています。その後、2017年のシンクライアント環境(※1)への切替えと合わせて対象者を拡大、2021年より在宅勤務規則をテレワーク規則に改め制度を拡充させました。
(※1) ユーザーが使用する端末(クライアント端末)の機能は必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行う仕組みのこと
人の流れに関する取組――――――――
■シンクライアント環境のPCを追加で準備するほか、BYOD(※2)の活用でテレワークを推進
部門ごとに出社率は異なりますが、新型コロナの流行時で本支店のおおよその出社率は約30%を維持しました。工場の操業に関係する従業員は、操業が止まってしまうため全員出社しており、研究に関係する部署ではテレワーク可能な人のみ実施していました。
やむを得ず出社する場合には、本社ビル内でフロアを変えて勤務するなど工夫していました。受注業務の部署でもテレワークを実施しましたが、電話対応等があったため、出社率は75%程度と高くなりました。
多くのパソコンは、シンクライアント環境に切り替えていたため、すぐにテレワークに移行できましたが、シンクライアント環境ではないパソコンについては、一時的にリモートデスクトップで対応し順次変更していくこととしました。
出社率を下げるため、BYODを活用しました。機材が足りない部署においては会社で購入して貸与したため、ハードウェアの準備に苦労しました。
テレワークの実施のため、通信環境を充実させたことにより、インフラ整備にコストがかかりました。またWeb会議を導入し、社内外の打ち合わせをリモートで行う基盤を整備しました。
オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)が無観客開催となったことで、大会期間中の通勤時間帯の混雑の心配はなくなりましたが、新型コロナの流行下であったため、出社率は下げていました。
(※2) 従業員が所有する私物デバイスを業務に使用
■柔軟性を持たせた勤怠管理(早出・遅出、混雑前退社等)に変更
オフピーク通勤や時差出勤も実施しました。やむを得ず出社する従業員には、就業時間や通勤経路を定めず、早出・遅出の実施、混雑前の退社、混雑した路線の回避等、柔軟性を持って対応してもらいました。
■取引先とのやり取りはオンラインやメール等を活用
自社の顧客もメーカーであり、先方でも対面での打合せは制限されていました。取引先でもテレワークが導入されており、Webでの打合せが多かったです。
書類等の電子化についても、業界の流れとして、東京2020大会以前からファイルをメールに添付して送信しており、原本は後日郵送でのやり取りとなっています。
物の流れに関する取組――――――――
■顧客側の不安解消のため、お願い文書のほか、営業からも直接説明を実施
営業経由で顧客に対し、「この時期の発注は止めてください」といった趣旨のお願いを文書でお知らせし、ご協力を頂きました。
また、顧客側の不安解消のため、営業より「時間指定されても時間どおりにはならないこともある」という話も口頭で説明していました。併せて、文書でも通知して理解を頂くようにしました。
東京2020大会を振り返って――――――――
埼玉、千葉、茨城への通過交通で、湾岸線や環状線の混雑を危惧していましたが、ほとんど問題はありませんでした。特に、都内への配送を心配していましたが、実際は、都内よりその周辺部への配送が多かったため、精緻なシミュレーションは行いませんでした。
自社は浄水場や下水処理場に薬剤を納品しており、有観客開催となった場合は観光客も増えることで需要が大きくなり、夜間の急なオーダーが発生するなど影響度も大きくなることが予想されましたが、実際には、無観客開催となったため影響はありませんした。
今回の東京2020大会に限らず、物流に関しては普段から様々なことを顧客に依頼しており、顧客側も対応に慣れてきていると感じています。特に、災害で道路が寸断される場合など、その影響は被災していない所にも波及するため、その情報を顧客にアナウンスして協力してもらうことは、これまでも実施しているところではあります。
今後について――――――――
人の流れに関する取組については、2021年に在宅勤務規則をテレワーク規則と改め、制度拡充を図り、柔軟な働き方を推進していきます。
物の流れについては、過去にもサミット等で大規模な交通規制があった際には、その前段階で顧客にアナウンスをして、イベント期間中の納品を避けてもらうことは行っていました。今後も、何か大きなイベントが行われる際には、同様の対応を行っていきます。