株式会社クボタケミックス
(2021年11月16日インタビュー実施)
オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)以前より、働き方改革の一環として取組を開始しました。オフピーク通勤は、新型コロナウイルスが流行してから本格実施となりました。
テレワーク等の実施により、東京・大阪では出社人数が半分になったことを踏まえ、2021年8月にオフィスを一部移転、また、2022年春にも一部移転を行う予定であり、順次オフィスの縮小を図っています。
人の流れに関する取組――――――――
■事務・営業系の社員にノートパソコンを貸与。基幹システムへの接続で勤怠状況を把握
テレワーク導入時、出社率は50%弱でしたが、東京2020大会時は、コロナ禍で加速されたこともあり、約30%となりました。2021年11月現在では、出社率は50%程度に戻っています。
自社の工場や物流センター等の荷役の従業員においては、感染対策をしっかり行った上で通常通りの出勤をしており、それは現在も継続しています。
事務・営業系の社員に貸与したノートパソコンを、自社の基幹システムにアクセスさせることで、「いつ・誰が・何時から出勤」を上長が随時確認できる形としています。
■通勤時間帯を複数設定し、柔軟な勤怠制度として実施
通常は8:30~17:00の勤務時間ですが、東京2020大会時の混雑を見据え、30分単位で始業終了時間を上長の許可で変更できるようにしました。ただし、始業開始時間は6~10時の間に限られます。
■トップダウンによる会議等のオンライン化
親会社より、「集まって会議はしないこと」と指示を受け、オンラインでの会議等を実施しています。
一部の顧客ともオンラインで打合せ等を行っていますが、その他は電話やメール、FAX等でのやり取りとなっているのが現状です。
■計画的な有給休暇の取得促進
東京2020大会やコロナ禍に関係なく、有給休暇の取得率は80%を目標にしています。
有給休暇は事前登録し、計画的に取得できる運用にしています。
■書類等の電子化
社内の申請関係の書類は電子化されていますが、取引先との契約書等や押印行為が必要なものは未だ紙媒体となっています。
物の流れに関する取組――――――――
物の流れに関する取組みは、東京2020大会に備えて対策を検討しました。
自社と契約している運送会社は、全国区で何百社にも及びます。
昭和40年代から、検品時の待ち時間や、客先での荷待ち時間が非常に多く、これは残念ながら商習慣となっています。検品時に担当者がいないことも多々あり、その待ち時間などには、朝6:00~7:00の間で10~20台のトラックが並ぶほどでした。
また、自社製品のバーコードを他社で読み込むことができず、レギュラー品種のものでも2万6千種、特注品種となると5万種と種数も多いため、検品レス化はできない状況です。さらに、パイプ製品はバーコードがないため、目視での確認となっているのが現状です。
荷積み等の付帯作業も、ドライバーが対応しており、大きなものはクレーンで荷降ろしするなど、時間短縮への課題は多くあります。
■ 前日に荷積みしておき、当日は車庫から直送に変更
これまで、ドライバーは物流センターで荷積みした後、配達して車庫に戻っていましたが、前日に物流センターで荷積みしておき、車庫から直送できる形としました。
自社は塩ビパイプや同継手等を製造しており、取引先はゼネコンや管材商社・販売店が多くあります。
東京都より提供された「明日の混雑予報」などの各種情報を踏まえ、取引先に東京2020大会時のお願いとして、時間指定はできないこと、早めの注文として頂くことをメール等で連絡しました。
■ 契約内容に応じ、自社の基幹システムの利用により在庫状況・配送状況等を検索・把握できるサービスを展開
自社では、契約して頂いた取引先に対し、その契約内容に応じて自社の基幹システムを利用してもらい、在庫状況や運送状況等を検索して把握できるサービスを展開しています。
自社の関東の物流センターは、小田原・船橋・竜ケ崎・栃木にあり、顧客による直接受取も可能としています。
■配送ルートの変更
事前に、東京2020大会の競技会場の近傍にある取引先をピックアップし、東京都から提供された各種情報を運送会社に渡して配送ルートを変更しました。
東京2020大会を振り返って――――――――
テレワークはできる部署とできない部署があり、自社の労働組合から公平性について指摘がありました。
自社の物流センターにおける直接受取については、東京2020大会時では緊急のもの以外、極端に多くはありませんでした。
今後について――――――――
人の流れに関する取組みについて、テレワークは今後も出社率50%として取り組んでいきます。
オフピーク通勤は現在も実施しており、今後も継続していきます。
物の流れについて、受発注時期の調整は今後も継続していきますが、オイルが高騰しているため、こちら側から要望しても、顧客次第になってしまうのが現状です。