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インタビュー

スムーズビズ推進期間結果公表イベント

令和元年度受賞企業インタビュー

スムーズビズ推進大賞 大賞

日本電気株式会社
<製造業>

受賞理由

自社単体の従業員数が2万人を超える日本電気株式会社(以下NEC)は、関係会社や協力会社等も一体となってスムーズビズの取組を進めた。一部の派遣社員も含めグループ全体でのテレワークトライアルを行い、NEC単体で1.6万人、NECグループ全体で 4.1万人がテレワークを実施した。これにより、NEC単体では5日連続または5日以上のテレワーク実施者が50%以上という結果を残した。また、2019年6月のG20大阪サミットで物流抑制の体制を構築し、配送時間の変更を実施。その結果をもとに東京2020大会に向けた体制の構築を図るなど、人の流れ、モノの流れに対する取組を積極的に進めている。

  • ●人の流れに関する取組:東京2020大会本番を想定し、グループ全社員による1週間連続在宅勤務へのトライアル
  • ●モノの流れに関する取組:チャレンジウィークのTSM(交通システムマネジメント)試行期間におけるトライアルの実施、東京2020大会に向け、6月のG20大阪サミットで物量抑制を実施
  • ●普及啓発に関する取組:お客様やパートナー企業へテレワーク活用を啓発、サプライチェーン全体での取組推進の働きかけ

取組の詳細についてはこちら

社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化を図るために、さまざまなソリューションを提案しているNECは、働き方改革においても社内での実践の成果を「ワークスタイル変革ソリューション」として社会に提供している。東京2020大会を見据え、スムーズビズに参加することでその取組を強化し、グループ全体で1週間連続の在宅勤務トライアルを実施した。また、チャレンジウィーク(7月22日~26日)の試行期間に、物流のトライアルを実施するなど、物流量の抑制などの取組も進めている。そんな同社の取組の詳細について、人事総務部 主任 荒川様、サプライチェーン統括本部 マネージャー 渡辺様、東京オリンピック・パラリンピック推進本部 マネージャー 伊藤様の3名に話を伺った。

スムーズビズに参加した理由

人事総務部 主任 荒川 裕邦 様
人事総務部
主任 荒川 裕邦 様

「東京2020ゴールドパートナー」でもある同社は、大会の安全・安心を効率的に支えるソリューションなど、さまざまな面で大会への貢献を進めている。一方、スムーズビズの取組については、田町(港区)の本社をはじめ、大会期間中に交通混雑が予想されるエリアにオフィスがあるため、大会の1年以上前から対策を練り、社内で東京オリンピック・パラリンピック推進本部、人事総務部、サプライチェーン統括本部等が連携した特別チームを立ち上げて、全社での体制を整えていった。

「当社では、以前からカルチャー変革の取組として、チームとしてベストな成果を出すために最適な時間や場所を社員一人ひとりがデザインする働き方を推進してきました。東京2020大会をきっかけにこれを加速させていくという点でも、大きな効果があると考えてスムーズビズに参加しました」(荒川主任)

単体でも2万人の従業員を抱える同社にとって、一人ひとりの意識を変えるのは一朝一夕に実現することではない。東京2020大会に向けての準備という点で、スムーズビズに参画することは大きな意味があったという。

取組に当たり苦労したこと

サプライチェーン統括本部マネージャー 兼 物流統括センター エキスパート 渡辺 朋子 様
サプライチェーン統括本部マネージャー
兼 物流統括センター
エキスパート 渡辺 朋子 様

人の流れの取組としては、2017年からテレワークへの取組を強化しており、テレワークの活用がグループ内で拡がってきていたという。そうした中で、オリンピック大会期間中は、原則全社員が1週間テレワーク、1週間夏休み。パラリンピック期間中は1週間テレワークを実施する計画を立案、スムーズビズ推進期間はそのリハーサルとした。「当初、本当に1週間連続でテレワークして問題ないのかという戸惑いや不安の声もありましたが、目的や計画を説明したり、環境整備などの課題を一つ一つクリアしたりして準備を進めました。」(荒川主任)

更には、「雇用形態に関わらず、チームとして働く」という考えのもと、派遣社員もテレワークの対象にできるように派遣元とも打ち合わせを重ね一部の部門でトライアルを実現させた。また、事前に社員アンケートを行い、サテライトオフィスの整備やノートパソコン等モバイル端末の配備をしたが、実際に行ってみることで本番に向けて次なる課題も見えてきたという。モノの流れについては、東京2020大会に先立つ2019年6月にG20大阪サミットでの交通規制に対応し、納期変更等により期間中の出荷量を50%削減した。物流量を大きくコントロールするのは初めてのことであり、事前にエリアやルートの検証を行った。この経験によって、特に物流については、自社だけではなく関係会社全体で取り組んでいく必要があることを改めて実感したという。

「営業担当はもちろん、お客様に向けて、交通混雑による遅延リスクや対策の必要性を地道に伝えることで理解をいただくことに注力しました」(渡辺マネージャー)そうした普及啓発活動と並行して、チャレンジウィークのTSMを活用し、混雑によって影響が出るエリアやルートを検証するなど、東京2020大会に向けての対策をしっかりと進めている。

東京2020年大会のレガシーを目指す取組

東京オリンピック・パラリンピック推進本部
マネージャー 伊藤 直美 様
東京オリンピック・パラリンピック推進本部
マネージャー 伊藤 直美 様

テレワークを推進していくためには、社員にテレワークに慣れてもらい、テレワークリテラシーを向上させていくことが大切と考える同社は、1月の「冬のスムーズビズ実践期間」や、2月にもテレワーク推進期間を設ける。業務上テレワークが不向きな職場では、今年の10月から導入した「スーパーフレックス(コアタイムのないフレックスタイム制)」を活用して、働く時間を自律的にデザインして対応する。また、同社ではお客様先に常駐しているエンジニアもいるため、来夏に向けてお客様とも十分に連携しながら取り組んでいくという。

また、モノの流れの対策として、G20では交通規制情報や他社の状況などの情報をメールで配信していたが、規模が拡大する東京2020大会では専用のサイトを構築して情報を公開していくという。「物流クライシス」といわれる中、サプライチェーンに関わる社内外のパートナーと連携して、具体的な対応策を打ち出すことで社会に貢献しようとしている。「東京2020大会のゴールドパートナーとして、大会の成功に向けた貢献はもちろん重要ですが、“社会価値創造” をテーマに世の中に新たな価値を生み出すことをミッションとしている私たちにとって、大会だけにとどまらず、その後に残せるレガシーも大変重要であると考えています」(伊藤マネージャー)

グループ全体で多くの人が多様な働き方をしている同社は、一人ひとりの社員が活躍できる職場環境づくりに力を入れてきた。東京2020大会のボランティアにも多くの社員が参加を予定しており、そうした経験から今後に向けた新たなビジネスのヒントが見えてくるはずだという。スムーズビズ推進期間や大会へ向けた特別チームの連携はもちろん、グループ全体のネットワークをフルに活用して、さまざまな社会価値創造への取組を進めている。

スムーズビズ推進者の声

コーポレート事業開発本部 主任 織戸 英佑 様
コーポレート事業開発本部
主任 織戸 英佑 様

関わった取組

テレワークを活用して、仕事も育児も充実

スムーズビズ以前から、テレワークを活用していました。子供が小さいので在宅勤務が主で、夕食の支度をするなど育児や家事を妻と分担しています。テレワーク制度導入当初、消極的なメンバーもいたのですが、チーム全員で在宅勤務をしてWeb会議をしてみたら、何も問題なく進めることができ、今では皆がWeb会議システムを使いこなしています。離れて働く時間が増えることで、働き方はもちろん評価システムも変わってくると思いますので、今まで以上に綿密に連絡を取り合うことが大切だと感じています。「集まって行う必要がある仕事」「個人個人でできる作業」をしっかり見極めて、生産性を高めるスケジュールを組んでいくことが重要。その上で自分自身のパフォーマンス向上はもちろんですが、チーム全体としてのパフォーマンス最大化を目指す仕事の進め方を決めていくことが、テレワークの本来の進め方ではないでしょうか。これからもテレワークを上手に活用して、効率的に時間を使っていきたいと思います。