令和元年度受賞企業インタビュー
スムーズビズ推進大賞 大賞
コニカミノルタジャパン株式会社
<卸売業,小売業>
受賞理由
人の流れ・モノの流れ・普及啓発に関する取組を網羅し、幅広く施策を設けて実践。中でも今夏のスムーズビズ推進期間で、自社独自にコア日を設定して行ったテレワーク推進取組では社員の入館率が昨年比半減以上と大きな成果を上げ、9月の台風上陸時のBCP(災害時事業継続)対応にも活かされた。また、2019年9月からは社有車にスムーズビズと2020TDM推進プロジェクトのステッカーを貼ることにより、社内外に向けたスムーズビズの広報に大きく貢献した。
- ●人の流れに関する取組:テレワーク(事前申請および回数制限はなし)、時差出勤(コアタイムのないフレックスタイム制)
- ●モノの流れに関する取組:保管文書ゼロ化、社内カフェ営業時間の短縮
- ●普及啓発に関する取組:社有車を活用したスムーズビズと2020TDM推進プロジェクトの普及、同社販売会社への働きかけ
幅広い取組を実践して「働き方改革プロジェクト」を推し進め、スムーズビズの取組にも積極的なコニカミノルタジャパン。同社ではプロジェクトチームを組織して、社内の働き方に関する施策の取りまとめ・運用をはじめ多方面からアプローチをかけることで、自社社員の働き方に変化を与え続けている。そのチームの活動において、スムーズビズはどのように活用され、また影響を与えたのか。そして次のステップとして、チームは何を目標としているのか。同社働き方改革プロジェクトの主要な推進者であるマーケティング本部 部長小島様、リーダー牧野様、小野田様の3名から話を伺った。
スムーズビズに参加した理由
コニカミノルタジャパンにとって、2019年夏のスムーズビズ推進期間は、自社社員の「働き方」を改めて考え直す一つの契機ともなった。2013年からすでに「働き方改革プロジェクト」をスタートさせ、その推進活動を行っている。同社は東京都心に本社を持ち、都内にも多くの営業所・サービスステーションを有し、東京2020大会開催による影響を、少なからず受ける環境に置かれていたからだ。
「 当社の置かれた現状を考えると、東京2020大会について鑑みつつ、今後の働き方に関する多様な取組を更に推進、発展させていくべきであると考えました。東京都が主導しているスムーズビズに全社的に賛同し、その活動に参加していくことは非常に重要なポイントになると判断したのです」(小島部長)
同社では、2017年から事前申請および回数制限のないテレワーク、コアタイムのないフレックス制度、保管文書ゼロ化、社内カフェ営業時間の短縮などを本格実施。2019年9月からは社有車にステッカーを貼り、スムーズビズと2020TDM推進の普及啓発も行っている。これらの取組は、2020年で終わらせることなく、その後も継続し仕組みを発展させていく予定だという。
取組に当たり苦労したこと
今夏のスムーズビズ期間において、特にテレワークについては、期間中独自の「コア日」を3日間(7/25、9/4、9/5)設定。しかし「営業や保守点検など、様々な職種がある中、いかに全社的なテレワーク推進をしていくかに悩みました」(牧野リーダー)
その解決策として選択したのは、地道かつ大胆な手法。まずは社内メルマガなどを使って啓発活動を行い、トップから一般社員に至るまで、テレワークのメリット等を周知させることに努めたという。それでも、テレワークを「自分ごと」として捉えられないメンバーは存在した。だがそれでは『働き方改革』という意味だけでなく、BCP的観点から見ても好ましくはない。「普段からテレワーク等に慣れておかないと、災害時に事業継続できなくなる可能性もあります。そこでコア日には本社執務室のうち50%を使用禁止にすると取り決め、実践を図ったのです」(牧野リーダー)
結果、コア日の出勤は63%削減され、50%の社員がテレワークを実施。それにより、普段はあまりテレワークを活用できていない部署でも、その実施についての課題があぶり出された。また、関東が台風15号にみまわれた際には、多くの社員がスムーズに業務をテレワークに移行、平常時と変わらない業務を進行できたという。身近な工夫としては、PC非所持時にも社内複数システムにアクセス可能な耐水性QRコード票を全従業員に配布。BCP時の業務遂行支援も行っている。
東京2020年大会のレガシーを目指す取組
「『こうであらねばならない』という古い意識が、変化の一番の障壁になります」(牧野リーダー)、という同社では、今後も「働き方改革」につながる様々な取組を継続し、全社員の働き方に関する意識を変えていくことを目指す。また、今回は本社内だけで行われたテレワークコア日の取組は、徐々に全国の支社・支店や販売店にも広げていこうとも考えているという。「それが実現されれば、社内コミュニケーションの活性化、組織としての力の強化、快適な働き方を自らつくる社風の形成などに役立っていくのではと考えます」(牧野リーダー) また、新しい取組として、お客様と直接接するサービスマンの働き方を改革。必要な部品など荷物は客先に送り、サービスマンはそれを見越して事務所など拠点を経ることなく客先に直行するなどの工夫も始まった。
「 その際には、ツールを使って情報共有を行い、どのサービスマンが出向いても同一のサービスを提供できる体制を整える、そんな取組も行っています」(小野田様) スムーズビズの取組は、いきなり100%を目指さないことが重要だという同社。「身近なところから実施して課題を見出し、一つずつ解決し、進展していく。そうした段階的かつ地道な動きが、『施策』を『レガシー』へと変えていく基本にあるのではないでしょうか」(小島部長)
スムーズビズ参加者の声
関わった取組
テレワーク
前職では、テレワーク等の取組を行っていなかったこともあり、当初はあまりテレワークに前向きではありませんでした。しかし、入社後まもなく上司から「テレワークを積極的に活用してみたら?」との進言があり、少しずつ制度を利用するようになりました。スムーズビズ推進期間には、自社が設定したコア日だけでなく、他の日にも活用するよう努めました。そうして制度を利用する回数を増やして経験値を上げていくにつれ、「自宅で業務を行うのも、働き方の一つのスタイル」と考えられるようになったのです。 通勤のストレスがなく、集中して働けるテレワークは、自分の働きやすい環境を整える一つの手段であると感じます。私は企画職ですので、そこから生まれる気持ちの余裕が新しい発想につながることもあり、業務の面でも役立つ部分は多いと感じました。