ここから本文です。

インタビュー

スムーズビズ推進期間結果公表イベント

令和元年度受賞企業インタビュー

スムーズビズ推進大賞 大賞

アサヒビール株式会社
<製造業>

受賞理由

製造業として自社の事業に大きく関わる2020TDM推進プロジェクトをはじめとするスムーズビズに賛同し、人の流れ、モノの流れに関する取組を実施した。特にモノの流れにおいては、物資の移動の3割以上の分散・削減を目指し、輸入商品等については受入時期の前倒しや、東京湾以外の港湾を利用するなどの具体的なアクションプランを作成、シミュレーションを実施した。これらの活動において、東京2020大会に向けた実効性が期待できると評価された。

  • ●人の流れに関する取組:社員のテレワーク推進
  • ●モノの流れに関する取組:物資の移動における分散・削減

取組の詳細についてはこちら

トラックドライバー不足が深刻な社会課題となり、今後数年間で約20~30%のトラック輸送力が喪失するリスクに直面 しているという。そんな状況を鑑み、アサヒビールは商品の物流についてリスク回避のための諸策を立案。東京2020オリ ンピック・パラリンピック大会を契機に業界全体が従来の枠を超えて物流効率化に向けて協調することで、WINWINの 関係性を導き出そうと動きだした。同時に、自社の「働き方改革」にも注力。これら活動の内容とスムーズビズとの関連性 について、執行役員であり東京2020オリンピック・パラリンピック本部でロジスティクス関連のトップを務める児玉様、 同本部統括企画部担当部長の遠藤様から話を伺った。

スムーズビズに参加した理由

執行役員 東京2020オリンピック・パラリンピック本部 ロジスティクス局長兼生産本部 物流システム 部長 児玉 徹夫 様
執行役員 東京2020オリンピック・パラリンピック本部
ロジスティクス局長兼生産本部
部長 児玉 徹夫 様

世界各国から多くの大会関係者や観客が訪れることが見込まれる東京2020 大会。東京都は、内閣官房、東京2020 組織委員会とともに、大会時の安全・円滑な輸送サービスの提供と、都市活動や経済活動の安定との両立を図ることを目的に「2020TDM推進プロジェクト」を推進している。

一方、「物流クライシス」と呼ばれる現在の物流を取り巻く状況は、大会に関わらず日本社会の大きな課題である。このような状況に危機感を抱いてきたアサヒビールは、スムーズビズのムーブメントを自社の改革の「絶好の機会」と捉えて賛同、その活動に参加することを決めた。「2020TDM 推進プロジェクトをはじめとした、スムーズビズの取り組みに貢献していきたいという想いから参加を決めました。今回の取組をきっかけに、東京2020 大会のレガシーとして新しい企業活動やワークスタイルも定着させ、これまで以上にいきいきと活躍できる企業を目指していきたいと考えています」(児玉執行役員)

現代社会が抱える人とモノの流れについての課題解決は、個社で取り組むには限界がある。だからこそ東京都の主導するスムーズビズのような大規模なムーブメントの活用の必要性を感じたという。東京2020 大会期間中の物資移動の3 割以上の分散・削減を目指したシミュレーションの実施、テレワークの更なる推進などを夏のスムーズビズ推進期間に実施した。

取組に当たり苦労したこと

東京2020オリンピック・パラリンピック本部統括企画部 担当部長遠藤 琢司 様
東京2020オリンピック・パラリンピック本部統括企画部
担当部長遠藤 琢司 様

2000年代はじめから働き方改革につながる取組を続けてきたという同社。大会期間に向 けた準備と啓発を目的に、推進期間中に一人2回以上のテレワークを積極的に推奨した。 「コアタイムを設けないスーパーフレックス制度は2007年に、テレワーク制度は2015年 に制度として取り入れ、社員の間にもかなり浸透してきています。東京2020大会も見据え ながら、人の流れに関する取組を粛々と進めています」(遠藤担当部長)

一方で、モノの流れに関しては、社内外の多くの関係者を巻き込み、更に綿密な調整と交 渉が必要になったという。物資の移動の削減・分散を図るために、ピーク時間帯を避けて 商品を納品する物流体制の検討や、東京港の混雑を避けるため、原材料の一部や輸入商 品の受入れ時期を前倒しする具体的な計画を練っている。

「物流についての各種課題は、業界全体が認識しているところです。目的をしっかりと丁寧 に説明していくことで、社内外の関係者から協力を仰いでいきます」(児玉執行役員) 東京2020大会を無事終えるためだけでなく、今後の物流についても構造改革が必須で あると共有できたことが、大きな力になった。

東京2020年大会のレガシーを目指す取組

2019年7月24日、26日には、大会開催1年前の交通対策 テストとして、高速道路及び一部一般道を中心に交通規制 が実施され、同社でも実証テストを実施した。概ね計画通り の対応ができたが、今後への課題も見つかったという。 「例えば、検品システムの簡易化や省略化などを通し、サプラ イチェーン全体の効率化を図ることで、我々メーカーだけで なく関係各所にもメリットがあるように少しずつ体制を整え ていく必要があると考えています」(児玉執行役員) そして現在、同社に対して得意先や業界他社から、TDMに 関するさまざまな問い合わせが増えているという。 2020TDM推進プロジェクトの概要をわかりやすくまとめ た資料を作成し、紹介する役割も自ら担っている。 「昨年から活動を続けている中で、まだまだ社会への浸透が 必要だと感じています。大会のゴールドパートナーとして、 TDM推進やスムーズビズの取組を牽引していければと考え ています。当社グループ企業や、物流事業者、業界企業とも One Teamになって、東京2020大会の成功に貢献してい きます」(児玉執行役員) 同社がその先に目指すのは、業界全体が物流領域で協調 し、社会全体で商品の安定供給を果たし続けるという未来 だろう。

スムーズビズ推進者の声

生産本部 物流システム部 担当部長 馬場 寛之 様
生産本部 物流システム部
担当部長 馬場 寛之 様

関わった取組

自社物流体制におけるTDM推進活動

物流体制の企画・管理、輸送効率化の推進業務を担当しています。同時に、グループ物流 会社で発足をした、東京2020大会期間中の交通緩和に向けたプロジェクトにも参加し、 協働して目標の完遂を目指しているところです。具体的に言えば、当社が掲げた、大会期間 中の物量削減・分散をしっかりとやり遂げることが第一のミッション。更にそれらの取組を 通して、大会の成功に貢献することが求められています。 大会開催まで、またそれ以降もさまざまな課題に直面することと思いますが、これは物流 変革のためのまたとない好機です。物流に関わる企業が一体となって、商慣習にまで変化 を与えつつ物流効率化や物流環境改善に挑戦できることに、大きなやりがいを感じます。 これからも行政等と一体となって取組を推進し、将来のレガシーとなる物流変革に取り組 んでいきたいと考えています。