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インタビュー

インタビュー

ヴェルト株式会社(株式会社Patata)

リモートワークにより働き方を大きく転換

 リモートワークを導入している企業は多くありますが、導入する際の費用の面や職種によっては、導入が難しい会社もあります。
 そうした中、ヴェルト株式会社(株式会社Patata)では、全社員がリモートワークできるよう様々な工夫を凝らしています。同社の取組について、代表の羽富さんとシステム担当の木下さんにお話をお伺いしました。

<代表の羽富さん(右)と木下さん(左)>

子どもの環境づくりを多方面から支える会社

 私たちは、ヴェルト株式会社と株式会社Patata(パタタ)の2つでビジネスをしています。ヴェルトでは、店舗の内装・店舗什器の制作や施工管理のほかに催事のデザイン企画、企業様のセールスプロモーションや広告、展示会等の仕事の請負を行っております。Patataでは、子どもの環境創りを主として、保育現場の内装やコンサルティングを事業者に提案しています。その他にも一般社団法人日本子ども成育協会も運営しており、協会では、子どもの成育に関する資格認定活動やセミナー、講座の主催などのソフトコンテンツを提供しています。

リモートワークの導入により、生産性が向上

 弊社は、子どもや保育に関わる事業を展開していることもあり、子育てや家族のライフイベントなど、事情に合わせた働き方への配慮を含め、在宅勤務及びリモートワークに対して前向きです。代表としても、時間に縛られず、かつ、生産性を上げるような働き方を目指していきたいという想いがあります。
 現在は、職種や家庭の事情などには関係なく、全員がリモートワークをしています。会社内にかかってくる電話や郵便物の対応などもあるので、出勤は当番制にし、少ないときは2、3名、多いときは5、6名が常時オフィスにいるような状況です。当番の日以外の出社頻度は、個々に任せており、場所も自宅、事務所、現場、コワーキングスペースなどどこでも可能としています。就業時間は9時から17時が基本ですが、実労働時間が規則に沿っていれば、「ラッシュを避けたい」「通勤に時間がかかる」など、本人の判断で10時からの勤務も許可しています。個々の業務の状況に合わせて、午前在宅、午後出社という働き方ももちろん可能です。出社する社員が減ったこともあり、オフィスはリモートワークの導入と同時に半分くらいに縮小し、経費削減の一環にもなりました。

 リモートワークを導入して生産性はかなり向上したと思います。以前はお客様との打合せのあと、FAXを送ったり内容をまとめたりするために、わざわざ会社に戻りましたが、今は会社からノートパソコンを貸与しているので、戻らずとも外出先やカフェなどで作業ができるようになりました。会社に戻るための移動時間が無くなったことで、時間の有効活用にもつながっていると思います。社員からも、商談先と会社との往復時間が無くなり手間も省ける、効率的な時間の使い方を考えるようになって仕事の密度が上がった、時間の使い方が広がり家事育児の時間にまわせるようになった、プライベートな時間も大事にできる、といった声をもらっています。

<リモートワーク導入後、縮小・改装した事務所>
<会社から貸与されているノートパソコン(surface)>

リモートワーク導入に向け、様々な環境を整備

 リモートワークに移行するにあたり、様々な環境整備やシステムの構築を行いました。
 社員に貸与するパソコンやソフトウェア等は、(公財)東京しごと財団で実施していた「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金※」を活用して購入しました。(※現在は終了)助成金で必要最低限のものを購入し、その後は社員の意見や相談を受け、適時ソフトの導入やシステムの改善などを行っています。
 コロナ前からペーパーレスやデータの集約・共有などのデジタル化を進めており、自社サーバーによる管理を行っていたため、リモートワークを本格的に導入してからもその環境を活用しながら業務を行っています。最近は、BCPへの対応をより強化するため、サーバーをクラウド化し、合わせてセキュリティソフトもクラウド化しました。
 社員のスケジュール管理には、「Googleカレンダー」を活用して、今何をしているか把握できるようにしています。コミュニケーションツールは「Slack」を導入しています。データの共有やチャットが簡単ですし、案件ごとにチャンネルを作って、その中で担当者同士の打合せや資料のやりとりができるので非常に便利です。使い勝手もよいので、皆すぐに慣れました。

<Googleカレンダー使用例>
<Slack使用例、画像は社内周知のメッセージです。>

リモートワークの課題

 一方、課題となるとやはりコミュニケーションです。私たちの仕事で一番大事なことは、お客様の声をちゃんと聞く、要望をしっかりヒアリングして聞き出すというところなので、直接「話す」「質問する」ということがリモートワークになったことでやりづらくなったということはあります。社員同士のコミュニケーションにおいても、対面であれば簡単なことでも、リモートだとその人が今何をしているのか、状況を一旦考えないといけないですし、電話やメール、チャットなどどのツールを利用するかなども考える必要があります。
 他にも、インフラはある程度整備し、環境は整ってきたと思いますが、アプリの活用やオンラインスキルがまだ備わっていない社員もいるので、そこを伸ばして効率よくクオリティの高いものを作れるように指導していかないといけないなと思っています。また、新入社員を入社直後から完全にリモートワークにしてしまうと、働き方が分からず意思疎通も上手くできないまま放置されていると感じて、本人のスキルや意識、意欲が上がらないことにも繋がりますので、ある程度出社日を決め、コミュニケーションを重ねながら働き方を直に学ぶようなサポートも必要だと思っています。

これからの働き方で大切なこと

 これまでは、出社することが当たり前でしたが、これからは、目的に応じてフィールドを選択できるようにし、生産性を上げていく事が求められると思います。
 また、リモートワークで一番大切なことは、受動的ではなくて、積極性をもって働くことだと考えています。社員自身がスケジュール管理をし、何を優先しどう効率的に働けばいいか考えていく必要がありますし、コミュニケーションの課題も自分から積極的に発信や関与していくことが重要で、それらが成果にもおのずと差として出てくるでしょう。見方を変えれば、リモートワークの導入は、社員のそうした主体性向上の手助けにもなるということです。
 まだ完成形とは言えない体制ではありますが、働く場所・時間に捉われない、こういった自由な職場環境を導入して良かったと思っています。会社としては、本人がどれだけ高い意識をもって仕事に接するかということを応援していきたいですし、将来どういう風になっていきたいか、自分がどれだけ成長しているかを、社員一人一人が認識し、可視化できたりするような職場にして、それをみんながフォローする、そんな文化がある会社にしていきたいと思います。