ここから本文です。

インタビュー

インタビュー

株式会社山櫻

在庫管理から物流効率化

 在庫量の適正化を実施し、物流の効率化を狙う株式会社山櫻が、その施策を導入するに至った経緯と現状、さらに今後の課題や展望について、ロジスティックス部門太田様にお話を伺いました。

在庫コントロールは中長期戦略の1つ

 オリパラ開催前は開催期に供給が間に合わないかもしれないと、過剰在庫や欠品などの見直しを行う重点管理を行なってきました。
 開催期にはコロナの影響もあり販売量が減少し、大きな影響はありませんでしたが、その後、在庫コントロールをさらに進めていくことを中長期戦略で決定し、在庫回転率を指標としました。回転率が高い方が商品も新鮮で現金化されるまでの時間も短く、タイムリーに供給でき、逆に回転が鈍いものは調達の見直しを図るなどで、調達部門、ロジスティック部門、生産部門の八王子工場との連携を強化しています。
 コロナ禍の影響で販売量が減るので人と物流を減らし、経済が戻ればそれらを戻せばいい、といった単純なものではありません。事業を継続するためには人的資源と物流車両数の適正化を継続的に行い車両確保は必要な行動です。

新事業で物流と経営の安定化

 物流センターの中に新しくフルフィルメントという事業を展開しました。いわゆる倉庫業と言われるものです。通常、弊社では自社工場で作った販売製品を新木場に運び入れて一時保管をし、お客様のオーダーに合わせてそれをお届けします。
 ですので、基本的にはこの保管にあるのは自社製品のみですが、第一種貨物利用運送事業と倉庫業を登録して弊社が製造しない荷物も保管し、出し入れや要望があれば配送するなどで共同配送行い、物流効率化と利益創出を行いました。
 コロナ禍ではそれほど活発ではありませんでしたが、新しいお仕事が徐々に入り、10社ほどが契約に至っています。

配送方法の見直しで、配送車の削減に成功

 新たな取り組みとしては、2020年から2021年にかけて配送車両台数のミニマム化を行いました。弊社の新木場にある物流センターの周りは委託で運送業者にお願いしていて、そちらで19台、また23区内の営業拠点は営業をしながら自分でお客さんに納品する3台の合計22台の配送車がありました。
 営業拠点が営業に特化することで、その配送エリアを委託運送会社の配送エリアに集約し、また物流センターから午前午後の2回配送をおこなっていたところを、午前は近接9つの支店へ配送を行い、午後は物流センターに戻らず、支店から目的地に配送とすることで配送距離を抑え、その結果22台の配送車を20台に減らすことができ、それによるCO2の排出量を減らすことにも繋がっています。

<Co2排出量の推移>

2024年を見据えて

 今の世の中、労働時間はキーと考えています。コロナで物量が落ちたタイミングで稼働時間の見直しをはかり、繁忙期以外の時間外労働をゼロに近づけようと一貫して動きました。
 物流センターがお客さんの要望ありきで動いていたこともあり、気づけば会社全体で一番長く稼働する部署になっていましたが、この建物に6グループいるのですが、全ての部署で残業時間が減っています。
決まった時間の労働で、ちゃんと帰れるということが社員、従業者のモチベーションを上げ、辞める人がほとんどいなくなったというのが大きな効果だと思います。
 現在、AI配車システムの導入を検討するための検証を行なっています。販売情報や配送依頼情報を販売管理システムから取り出し、ルートも自動で組まれナビをするAI配車です。
 これら導入の検討や共同配送は、コスト削減や労働時間の削減など企業活動に寄与する意義ある取り組みこととして、今後も進めてまいります。