freee株式会社
「#取引先にもリモートワークを」と「ビズ・ディスタンス」のアクション推進
新型コロナウイルス感染症の拡大防止と事業活動の両立を図るため、コロナ禍でテレワークの取組は大きく進みました。その一方で、取引先との書面のやり取りや押印の業務など自社で完結しない業務によりテレワークができないといった状況も見られるかと思います。
今回は、そのような状況を改善し、世の中全体でリモートワークの障壁を取り除いていく活動「「#取引先にもリモートワークを」アクション」を推進するとともに、一般社団法人ビズ・ディスタンス協会の理事として、相手の立場や状況に配慮した思いやりを持った距離感「ビズ・ディスタンス」活動にも取り組んでいるfreee株式会社の金融アライアンス事業部 部長の山本さんに、アクションの経緯・現状・今後の展望について、オンラインでインタビューを実施しましたので、その内容をご紹介いたします。
〇「#取引先にもリモートワークを」
freeeは、会計ソフトをはじめ、さまざまなクラウドサービスなどの開発及び提供をしている会社です。「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の実現を目指しています。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、スモールビジネスを支える企業として、密を避けた働き方であるリモートワークを、スモールビジネスに浸透させることが我々の課題と認識しました。
そこで、昨年4月に、緊急事態宣言下での、スモールビジネスにおけるテレワークの現状・課題を把握するため、1~300名規模のスモールビジネス従事者1,146名を対象に、アンケートを実施しました。
その結果は、
・回答者の64%が、会社としてテレワークを許可されてない。
・テレワークを許可されている残りの36%の人の出社頻度として、「ほぼ毎日」が16.3%、「週に2、3回程度」が21.6%となるなど、何らかの理由により出社しなければいけない人が多く存在
・出社理由として「取引先から送られてくる書類の整理作業」が最も多く、産業界全体でペーパーレス化を推進することが急務
・出社対応が必要な書類Top3は「契約書」「請求書」「経費精算の申請書」であり、社外へのペーパーレス化の働きかけだけでなく、社内申請書の電子化も必要
というものでした。
アンケートで浮き彫りになった課題を解決し、リモートワークを浸透させるためには、自社だけでなく取引先の働き方も併せて見直すことが必要であることを認識し、その実現に向けたムーブメントとして「#取引先にもリモートワークを」アクションを始めました。
押印等は法律で定まっているわけではなく、商慣行に基づいているものも多いですが、ビジネスにおいて、商慣行の存在は非常に大きいです。その商慣行に影響力を持っているのは大企業ですが、慣れ親しんだ商慣行を大企業自らが、変えていくには時間がかかります。
それに対して、スモールビジネスは素早く柔軟に対応できます。そこで、スモールビジネスからムーブメントを作り、そこに大企業が連携する方がうまくいくと考えました。2020年6月に32社で共同宣言を行い、2021年1月現在では、大企業も含め140社くらいの企業から賛同を得ています。
〇「ビズ・ディスタンス」の推進
「#取引先にもリモートワークを」としてのムーブメントの推進、また政府・自治体におけるハンコレス・ペーパレスの推進の結果、取引先とのやり取りを理由とする出社も減ってきており、リモートワークが進んできたことを実感しました。
その一方で、リモートワークが全てにおいて良い訳ではなく、対面(リアル)の方が良いところもある、ということも分かってきました。
全国のリモートワーク経験者977人に調査をしたところ、リモートワークで生産性が上がったと回答した人は約半数にとどまりました。また、取引先との関係構築もリモートワークでは難しい、社員同士の心理的な距離感が遠い、との回答がともに半数を超えました。
既存の取引先とのやり取りはリモートワークで良いが、顧客開拓・新規顧客とのやり取りは対面が良い、という声も聞こえてきます。 リモートワークとリアル、それぞれがうまく使い分けられる「いいキョリ」が世の中には必要、ということです。
そこで、相手の立場や状況に配慮した思いやりを持った距離感としての「ビズ・ディスタンス」アクションを推進することとし、実施主体として一般社団法人ビズ・ディスタンス協会を設立しました。ビジネスとしてではなく、ムーブメントを通じて社会貢献するためには、一企業からの発信ではなく、社団法人化した方が円滑に進められると考えたためです。
働き方にはいろいろ選択肢があり、コミュニケーションのあり方、ライフワークバランスの考えも多様です。それぞれの企業・従業員が最適な選択ができるともに、それを阻害する外部要因をなくし、「近すぎる距離」「遠すぎる距離」を「いいキョリ」にしていくために、メッセージを発信していきます。
「近すぎる距離」を変える取組
「遠すぎる距離」を変える取組
そして、PRのため、「ハシビロコウ」のキャラクターを作りました。上野動物園にもいる「ハシビロコウ」は動かないことで有名ですが、エサを取る瞬間には素早く動くことなど、ビズ・ディスタンスを体現していると考えているためです。
一般社団法人ビズ・ディスタンス協会の キャラクター
「ハシビロコウ理事⻑」
•リモートワークを愛するビズ・ディスタンス協会の理事長。
•リモートにしているのは面倒だからではなく、相手のためを思っているから、とのこと。
•生命線であるヘッドセットに強いこだわりを持つが、その値段は絶対に教えてくれない。
•必要な時には、大事なヘッドセットを外して、取引先へ羽ばたいて向かう。
•取引先には、愛を込めて深々とお辞儀する。
•見た目はぼーっとしているように見えるが、中身は思いやりのあるいいやつ。
•一休さんに憧れており、新しい働き方への視座を与える“とんち”をたまに言うらしい。
ハシビロコウは、ほとんど動かないことで有名な大型鳥。
基本的にじっとしているだけで、エサを取る瞬間など必要な時には素早く動くことができます。
まさに今回のビズ・ディスタンスを体現している唯一の動物?かもしれません。
〇最後に
企業の皆様におかれては、リモートワークが普及していく過程で、リモートワークとリアルとの最適な水準を模索されているかと思います。そのような中、今回ご紹介しましたムーブメントが参考になれば幸いです。