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インタビュー

「新しい日常」における働き方に関するインタビュー

株式会社キャスター

「リモートワークを当たり前にする」ために働き手と企業とをつなぐ

感染症対策としても有効なテレワーク(リモートワーク)について、優秀な人材の確保や活用といった面から推進しようとしている企業の皆様もいらっしゃるかと思います。  今回は、リモートワークの普及に向け、2014年に、オンラインで企業のバックオフィス業務をアシストする事業を立ち上げた、株式会社キャスターのPR/人事 執行役員 勝見彩乃さんに、事業に取り組まれた経緯やリモートワークが人材確保や活用に及ぼすメリット、メンバー全員がフルリモートで働くという環境における仕事の進め方などについてお話を伺いました。

<勝見さん>

 「リモートワークを当たり前にする」これが当社のミッションです。労働人口が減少し、人手不足が叫ばれる一方で、働く場所の制約がなければ、実は働き手は沢山いるのです。オンラインアシストサービス「CASTER BIZ」は、そうした働き手と雇用主としての企業とをつなぐものとして始めました。
 例えば、経理や人事・労務などの、本業以外の事務に要する時間を削減できれば、限りある人的資源を本業に集中させ、業務の効率化を図ることが可能になります。
 「CASTER BIZ」では、経理などの各事務を、オンラインでアウトソーシングすることが可能です。企業にとってのメリットに加え、当社としても、依頼された業務を多くのリモートワーカーの雇用機会として提供できます。

<オンラインアシスタントの概念図>

  約700名のメンバーが、日本各地(47都道府県)でフルリモートにより働いています。「リモートワークしたいから」「リモートワークでないと働けないから」「勤務条件や業務内容に魅力を感じて」など、応募の動機も様々です。ちなみに、全員がフルリモートを前提に入社しているので、     採用時の面接も含め、実際に顔を合わせることはほとんどありませんが、オンラインで互いの顔を見て会話することができるので、会えないことで相手のことが分からないということも、会えずに困った、ということもありません。 拠点は3箇所(宮崎県(西都市・宮崎市)及び東京都(渋谷区))ありますが、数名の常駐メンバーがいるのは西都市の本社のみです。郵送されてくる書類の処理や、業務に欠かせない貸与PCの送付等の役割を担っています。

<キャスターメンバーの居住地比率>

 新人の研修や部門ごとのミーティング、年に1回実施する全社イベントも、全てオンラインで実施しています。働く場所の制約はありませんが、自宅を拠点に働いているメンバーが多いです。メンバーの約86%が女性ですが、育児をしながら働いているのは、そのうちの約1/3です。

  本社を宮崎県に置いているのは、役員の1人が宮崎県在住であったこと、宮崎県が企業誘致に積極的であったことなどが理由です。地方においては、そもそも求人が少なく、特に女性のキャリアアップは困難な場合もあります。一方、ご主人の転勤に伴って退職したような方など、オンラインで仕事をするのに適した人材は、地方にも多くいらっしゃいます。宮崎県に本社を置く際の求人に対しても、数多くのご応募をいただきました。当社としては、働きたいけど仕事がない、優秀な人材を確保できるメリットがあり、その地域にとっては雇用機会の提供ができるなど、地方に拠点を置くことは、双方にとってメリットがありました。

  2020年10月には、地方創生の観点から、宮崎県椎葉村との間で、リモートワーク推進の協定を締結しています。その一環としてワーケーションを実施したところ、通信等にも問題なく、快適に仕事が出来ることが確認できました。普段はフルリモートであり、メンバー同士が実際に会う機会がないため、現地で体験した6名は、そこで初めて顔合わせしたメンバーもいた、という状況でした。

<宮崎県椎葉村でのワーケーションの様子>

 弊社では「リモートワークを当たり前にする」ために、まずは自社においてリモートワーカーを増やしてきました。その過程で培われたノウハウを提供することで、リモートワークを行う企業を増やしていきたいと思います。
※以下のサイトで、リモートワーク導入に関するホワイトペーパーを公開しています
https://speakerdeck.com/caster/
 また、「Caster Anywhere」という、リモートワーク組織立ち上げへの支援サービスも展開しています。コロナ禍の前後で、当サービスを導入される企業の意向に変化が見られました。以前は、中長期的な視点から「何をやるのがいいのか」というご相談が多かったのですが、ここ1年は、助成金や、オンラインでの業務を行う上での規程整備などに関する具体的なご相談が増えています。
 企業から相談を受ける中で、行政に求めるものについての声もいただきました。多かったのは、やはりテレワーク関係の助成金に関するものでした。相談時の実感として、2020年4月の1回目の緊急事態宣言解においてテレワークを導入したものの、その後、対象社員・業務の限定、実施回数の減少など、取組を緩めた企業が多いです。取組を継続するには、業務の見直しとセットで変える必要があります。そのために、都が行っているような、集中的に取り組む期間を設定するということも、企業が取組について考えるきっかけになると思います。

 フルリモートが前提となっているため、特にコロナ禍において業務に影響が出たということはありませんが、1回目の緊急事態宣言時には、3月から保育園や学校が休校になっていたため、一部のメンバーは子供が家にいる中で業務を行う状況でした。リモートワークは子供が家に居てもできると誤解されがちですが、集中して業務に取り組むのは、実際は大変でした。そこで、休園・休校時には、該当するメンバーに、特別休暇を数日付与しました。2回目の宣言時は休園・休校の措置が取られなかったこともあり、通常どおり、問題なく業務が行えています。

 「新しい働き方」の1つであるテレワーク(リモートワーク)。その取組の浸透により、場所に縛られない柔軟な働き方が出来る、ということを体現している会社であると感じました。
 今回ご紹介した株式会社キャスター様をはじめ、リモートワークに対する支援や、ノウハウを提供する企業も増えており、スムーズビズのHPでも紹介しています
https://smooth-biz.metro.tokyo.lg.jp/newstyle/)。
 2回目の緊急事態宣言が延長となる中、行政や企業が提供する支援なども有効に活用しながら、新しい働き方であるテレワークの推進に向け、引き続きご協力をお願いします。