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取組事例

TOKYOテレワーク・モデルオフィス体験記

TOKYOテレワーク・モデルオフィス

~快適に業務を行うための数々の工夫をご紹介します!~

 今回は、特別編第2弾(第1弾はこちら(※東京テレワーク推進センター体験記))として、2020年7月に都が多摩地域に設置したTOKYOテレワーク・モデルオフィスを訪問した時の模様をお伝えします!
 コロナ禍を機にテレワークに取り組まれている企業も増えていますが、勤務場所としては、カフェなどではセキュリティの問題があるため、自宅に限定している企業も多いようです。自宅での勤務は、移動・通勤時間の削減による負担軽減や時間の有効活用などのメリットがある一方、仕事のオン・オフの切替えが難しい、通信環境が不安定、などの課題も挙げられています。
 そこで、会社でも自宅でもない身近な仕事場として、サテライトオフィスが、職住近接の環境を確保しながら、自宅勤務と同様のメリットを得ることができるため、改めて注目されています。
 都では、自宅以外の場所でもテレワークを行うことができる環境の整備を進めるため、民間のサテライトオフィスの設置が少ない多摩地域に、モデル的にサテライトオフィスを府中、国立及び東久留米の3箇所に設置しました。いずれも駅から徒歩3分以内の距離にあります(https://tokyo-telework.jp/modeloffice/)。
 ご利用いただけるのは、原則として、都内在住又は在勤で、企業等で働く従業員の方です。まずは企業の登録を行い、その後利用者個人についてご登録を行った上で、個別のご利用について、ご予約いただく必要があります。詳細は、以下のURLからご確認ください。

<TOKYO テレワーク・モデルオフィス利⽤案内>

https://cdn.tokyo-telework.jp/data/files/office_terms_of_service.pdf?6
※今回お伺いした「TOKYOテレワーク・モデルオフィス府中」(以下「府中オフィス」といいます。)については、感染症対策として、ワークスペースの利用可能な座席を半分程度に制限して運用していることもあり、取材時点(2021年2月)では連日ほぼ満席の状態、とのことです。ご予約いただく際、ご留意いただきますよう、お願いいたします。

〇落ち着いた空間で効率的に業務を

 今回はお伺いした府中オフィスは、京王線府中駅北口から徒歩2分のところにあります。
 中に入ったところで、まずは手指の消毒と検温を実施し、受付へ向かいます。府中オフィス内の第一印象は「綺麗で爽やかな感じ」で、全体に明るめの淡い色合いに、気持ちも前向きになりました。

〇働きやすい空間づくりに向けた数々の工夫

 コンシェルジュリーダーの徳岡さんにオフィス内をご案内いただき、府中オフィスの利用状況なども伺いました。サテライトオフィスだけでなく、各職場においても活用できる、「ワークスペースの改善ヒント」が随所に見られました。総務や人事労務のご担当者様にも一度お越しいただき、皆様のオフィスの生産性向上につながるヒントを持ち帰っていただきたいと思います。

<徳岡さん>
<府中オフィス全体図>
①入口周辺

 通路を挟んだ受付の反対側に、働き方のヒントとなる書籍やテレワーク関連のツールなどのカタログを集めた「テレワーク情報コーナー」があります。同じコンセプトの書籍がブロックごとにまとめて配置され、読みたい分野のものを集中的に読むことができます。
 また、新たな知識・情報に触れることによる向上心アップや、ちょっとした息抜きとなりストレスコントロールとしても有効、とのことです。

<テレワーク情報コーナー>
②~⑤ワークスペース

 オフィス中央の「オープンワークスペース」(②)を取り囲むように、各種ワークスペース が配置されています。

<オープンワークスペース>
③、④パーソナルワークスペース

 利用者が集中して働けるよう、オープンタイプのオフィスでありながら周囲の視線が遮断できるブース席(③)、天板の角度を変え、画面の高さを上げることで視点を上げ、集中度が上がるデスク(④)などを用意しています(いずれも要予約)。
 天板の角度変更については、実験で、一定程度の生産性や集中度の向上が見られたそうです。

<パーソナルワークスペース>
⑤イノベーションワークスペース

 新たな発想やアイデアを生み出しやすいよう、ワークスペースの床の色や流れる音楽、座席(ソファーやハイカウンター)、目線の高さなど、様々な変化を加えています。(予約者が自由に利用可能)

<イノベーションワークスペース>
⑥会議室

 6名まで利用可能な部屋と、8名まで利用可能な部屋が1つずつ用意されています(要予約)。室内はグレーを基調とした落ち着いた色調で、資料投影やオンライン会議用のモニターが完備されています。
 この会議室は、換気やパテーション設置コスト低減の観点にも配慮し、あえて天井まで仕切り壁を設けていませんが、会議での発言が室外から聞き取られないよう、数々の工夫がなされています。
 まず、消臭・抗菌効果もある「吸音パネル」。立った時の顔の位置までをカバーする高さに設けられています。
 次に、声の大きさを光と音で伝える「レベルメーター」。声が大きくなるとオレンジから赤色に変化し、更に声が大きくなると、音で知らせることで、会議参加者自身でボリュームを意識もできます。
 最後は、空調音に似た「マスキング音」を発生させることにより、会議室の外や隣の会議室への音漏れを軽減する「サウンドマスキングシステム」。訪問時にも流れていましたが、静かな空調の音、という認識でした。普段は、会議室での声の大きさに合わせ、スタッフがこまめに音量を調節しているそうです。

<会議室(8人用)>
⑦防音テレフォンブース

 1人用が2つ、2人用が1つの、計3ブースが用意されています。予約制ではなく、利用者が自由に利用できます。実際に、職場とのビデオ通話を試してみましたが、映像も音声もスムーズで、快適に利用できました。実は、利用中に徳岡さんに外から話しかけられていたそうなのですが、全く気付きませんでした。

<防音テレフォンブース>

〇他にも、集中力を高める工夫があります

  • ・集中力アップ効果のある、オフィスアロマを導入しています(2月時点ではラベンダーの香り)。
  • ・適度な音量のBGMにより、周りの雑音が気にならなくなることで、集中力の向上につながります。イノベーションワークスペースでは、他のエリアと異なり、鳥の鳴き声を流すことで、気分転換・発想力アップを図っています。
  • ・会議室の外壁に、「ラッシュアワー」というアート作品を掲示
<ラッシュアワー>

 公園の木々は満員電車内の人々の頭を、オフィスビルは車内からみた電車の窓をイメージしており、“Rush hour”(満員電車)から“Lush hour”(豊かな時間)へというメッセージが込められているそうです。利用者同士のコミュニケーションを図るきっかけとなることもあるとのことでした。

〇終わりに

 「快適に仕事をしてもらう」ことへの配慮が随所にあることが、好調な利用状況に表れているのだと感じました。
 府中オフィスの利用予約は4時間単位ででき、8時間(終日)の利用が最も多いそうです。
 今回は取材時間の関係で短時間の利用でしたが、居心地の良い空間で落ち着いて仕事ができるだけでなく、職場の生産性向上につながるヒントが得られるオフィスだと感じました。
 国立、東久留米に設置したオフィスとともに、より多くの方にこれらのモデルオフィスをご利用いただき、その魅力や快適性に触れることで、コロナ禍で取組が進んだテレワークの継続・定着につなげていただきたいと思います。