ここから本文です。

インタビュー

平成29年度時差Biz推進賞-ワークスタイル部門受賞

平成29年度時差Biz推進賞

ワークスタイル部門受賞

株式会社TOK

受賞理由

通常の始業時間8時半を、7時半、9時半、10時半の中から選択可とし事前申請制とする、朝方勤務を含む時差出勤に取り組んだ。また、7時半始業を選択した社員は、残業禁止とし16時半終業とした。実施後のアンケートで、「仕事の能率が上がった」「私生活が充実した」「気分的にゆとりを持てた」という意見を得られた。

“これまでにない動き”をスローガンに掲げ独自のユニークな製品を研究開発し、時代のニーズに応える価値を生み出しているTOKは、「企業は人なり」という経営方針で、常に社員の働きやすさを考えている。板橋区「いたばし働きがいのある会社賞」受賞企業でもある同社は、時差Bizが社員の働きがいにつながると考えて参画し、結果、社員から好評を得ているという。そんな同社の時差Bizの取組や働きがいに対する考え方について、吉川桂介代表取締役社長に話を伺った。

時差Bizに参加した目的

代表取締役社長 吉川 桂介様
代表取締役社長
吉川 桂介様

「企業は人なり」を経営方針に掲げる同社は、楽しいと思える仕事環境づくりに力を入れており、平成27年度には「第6回いたばし働きがいのある会社賞」を受賞している。昨年、時差Bizを知り、時差出勤も社員にとってプラスになると考えて参画を決定した。集中取組期間中は、本社勤務社員を対象に通常8時半だった始業時間を7時半、9時半、10時半の中から選択して事前申請する、時差出勤制度をトライアルで導入した。
「トライアルの目的は、単に今までの出勤時間を変えるだけではなく、社員一人ひとりが時間の使い方を自分で考えて選択するというものでした。自らの働き方を考え直す良い機会になると考えたのです」(吉川社長)
一方、もしそれぞれが自分の都合だけで時差出勤をすれば、同じ仕事を進めているチームに支障が生じる。そうならないようにするため、社員同士の会話が増え、コミュニケーションが活発かつ深くなったという。例えば、7時半に出社した社員は16時半終業。部署の仲間全員が7時半に出社し、残業をすることなく終業後はフットサルを楽しむ等のムーブメントが起きた。時差Bizの時差出勤をきっかけに、社員同士のつながりがより潤滑になり、社員一人ひとりが時間の有効活用を考えるようになったという。

具体的な取組内容

若手社員も吉川社長に「桂介さん」と気軽に声をかける
若手社員も吉川社長に「桂介さん」と気軽に声をかける

時差Biz期間終了後に行った社員アンケートでは「時差出勤を経験して良かった」という声が多くを占めたという。例えば、通勤面では「電車が空いていて楽だった」という声が。また、仕事の効率面では「早く出社すると電話もほとんどなく、書類作成業務に集中できた」「仕事開始からスッキリして、エンジン全開で仕事に入れた」といった声が上がった。生活面では「早く出勤したので、早く帰宅でき子どもの野球の練習に付き合えて、家族も満足していた」「出勤時間を遅くしたので、出勤前に子どもと触れ合う時間ができて良かった」などの声が上がった。さらに、吉川社長の目をひいたのは「白い靴を履いても踏まれることなく汚れを気にせず出勤できた」という女性社員のコメント。好きな靴を履いたり、おしゃれができないほど、電車が混んでいるのかと、吉川社長も通勤ラッシュの深刻さを感じたそうだ。平成30年度も時差Bizに参加するとともに、6月7月に再びトライアルで本社勤務の社員や名古屋・大阪オフィスの社員を対象に時差出勤を導入する。時間も6時半から10時半まで30分単位とさらに幅を広げる。
「当社は製造業で工場勤務の社員もいます。現在のところ時差出勤の対象は本社・名古屋・大阪オフィスの社員のみです。トライアルを経て8月からは工場の間接部門も対象とした時差出勤制度の本格導入を考えていますが、工場の現場社員はまだ対象ではありません。いずれは現場社員も含めた全社員対象にするために、いろいろな方法を考えているところです」(吉川社長)

時差Bizに期待すること

時差Bizに参加したことで、社員の時間に対する意識も大きく変わってきたという。フレックスタイム制を導入したらどうかといった意見もでるようになり、今後はテレワークの導入も視野に入れているという。社員が自分自身の時間の使い方を考え、時間を有効活用していくことはやりがいにつながっていくが、今まで以上に結果・成果が求められる。そのためには、「従業員がより結果・成果が上げられるように、仕組みを柔軟に変えていくことが重要」と吉川社長は強調する。
今後は、自宅からお客様先へ訪問、お客様先からそのまま自宅へ帰ったり、会社に寄らない分の時間で余暇を楽しんだりスキルアップに充てられるような「直行直帰」も推進し、さらに時間を有効活用できるようにするという。その他、工場の現場社員にも時差出勤を導入するために機械化できるところは機械化していく方針だ。
「社員の働きやすさを考え、機械に任せられるところはすべて任せていきたいというのが私の考えです。そうした意味で“省人化”ではなく“零人化”が私の目指すところです」(吉川社長)
「いたばし働きがいのある会社賞」受賞企業として、7月に板橋区主催の講演会で講演するという吉川社長は、時差Bizのようなムーブメントがもっと広く認知されることを期待しているという。

健康経営企業を目指す

社員が楽しく働けることを目指した新社屋
社員が楽しく働けることを目指した新社屋

社員の働きやすさ、働きがいを一番に考えている同社は、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度である、「健康経営優良法人認定」を目指している。そのため、社員一人ひとりが健康で楽しく働ける環境づくりに力を入れている。今年は山梨で全社員を対象とした運動会を初めて開催するという。そうしたイベントにも積極的に取り組むことで、社員の結束もより強まり働きがいにつながっていくのだろう。