平成29年度時差Biz推進賞
ワークスタイル部門【松本零士特別賞】受賞
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
受賞理由
7月・8月をワークスタイルイノベーション推進月間とし、シフトワークによる時差通勤、テレワーク、モバイルワーク等の時間や場所に捉われない多様な働き方を職場や個人の実態に合わせて組み合わせて実施することを全社に周知し、推進した。また、時差Bizの取り組みをきっかけに、本社ビル内に社内サテライトオフィス「SOMPOラウンジ」を設置し、働き方改革のためのインフラ面の整備も合わせて進めた。「SOMPOラウンジ」では早朝出社者への軽食の無料提供を実施し、シフトワークによる時差通勤を推進した。
約2,000万人の顧客基盤を有する損保ジャパン日本興亜は、お客様の「安心・安全・健康」に資する最高品質のサービスの提供を目指している。そのベースにあるのは「全ての主役は、人」という考え方。その考え方に基づいて社員の成長を支援する体制を整えており、平成27年からは「ワークスタイルイノベーション」をスタートさせるなど、働き方改革にも力を入れている。そして、昨年は時差Bizに参加し大きな成果を収めた。そんな同社の時差Bizの取組について、鳥越崇史人事部企画グループ特命課長と土橋沙江人事部ダイバーシティ推進グループ副長に話を伺った。
時差Bizに参加した目的
損保ジャパン日本興亜は、早くからテレワークを取り入れるなど、働きやすい職場環境づくりに力を入れてきた。さらに働き方改革を進めるために、平成27年から「ワークスタイルイノベーション」をスタートさせた。その際、それまでコールセンターなどの特定の部署のみで導入していたシフトワーク(時差出勤)を全社員が利用できるようにした。同社のシフトワークは、どんな部署の社員でも制度を活用できるように、7:00~15:00、13:00~21:00の間で9つのものパターンが設定されている。
「シフトワークの幅を拡大し、それぞれの職場・部署の状況に合わせて利用を促進して欲しいという思いでしたが、育児や介護など家庭の事情や、仕事の都合で早く出勤する必要があるといった人を中心とした限定的な利用で、なかなか浸透しませんでした」(鳥越特命課長)
制度は整備したが、社員の中には「本当に利用してもいいの?」といったムードがあったという。そうした状況を少しでも打破するために、昨年の7月・8月をワークスタイルイノベーション推進月間として、シフトワークやテレワークの利用推進を図った。
「ちょうど同じ期間に時差Bizの取組があることを知り、社員への周知や利用の促進につながると思い参加しました。とても良いタイミングだったと思います」(鳥越特命課長)
具体的な取組内容
ワークスタイルイノベーション推進月間の実施と時差Biz参加で、シフトワーク、テレワークなど、働き方に対する社員の意識も少しずつ上がっていった。また、時差Bizへの参加をきっかけに、本社の食堂の一角に社内サテライトオフィス「SOMPOラウンジ」を設置したという。「SOMPOラウンジ」では、数量限定だが早朝出社者への軽食の無料提供を行い、シフトワークによる時差通勤を推進した。
「何か“おまけ”がもらえるからといった理由でいいので、まずはシフトワークを利用してもらうことが重要と考えました。利用してみればその良さや意義を肌で感じますから。そうした軽い気持ちや遊び心でスタートした方が、結果的には長続きするのではないでしょうか」(土橋副長)
社員に利用を促すからにはまず自分からと、昨夏に何日間か7時出勤をした鳥越特命課長は、「本当に電車は空いていて、混雑による電車の遅延もなく、とても快適でした」と言う。もちろん社員からも同様の声が多く聞かれた。昨年の時差Biz実施以降、シフトワークを利用した社員が3割増えたことからも、社員の満足度の高さがうかがえる。
「こうした活動は一過性ではなく継続させていかなければ意味がありません。そのためにいろいろな施策を考えています」(鳥越特命課長)
ワークスタイルイノベーションを進める同社は、「働き方改革ガイド」や「ダイバーシティブック」などを作成して、制度に対する社員の理解を深めるとともに気持ちを盛り上げ、積極的な利用促進を継続している。
時差Bizに期待すること
時差Bizをきっかけに社員の意識も変わってきたという同社は、昨秋、全社で「Ji-Tan(時短)フェス」を行った。部署の平均残業時間が前年に比べどれだけ削減できたかという定量的部分と、そのために、どんなアイデアを出して取組を進めたかという定性的部分を総合的に判断して、全国に1200ある職場から約100の職場を表彰したという。また、同社のキャラクターであるパンダの絵柄のマグネット等、シフトワークなどに活用できるグッズを配布するなど、いろいろな方法でワークスタイルイノベーションを盛り上げている。
「働き方改革は、社員の自主性が大切です。押しつけにならないように、制度利用がしやすくなるように後押しをしていくことを心がけています」(土橋副長)
そのために、随時アンケートを行って社員の声を吸い上げるようにしているという。最近は、一人ひとりの時間の使い方の意識が高まり、職場内で忙しくて残業が多い社員がいれば、みんなで助けていく風土も根付きつつあるという。
今年も時差Biz期間は、「SOMPOラウンジ」での早朝企画の検討をしているという同社。その「SOMPOラウンジ」は本社社員だけでなく、地方から出張で本社へ来た社員などで、想像を大幅に上回る利用率だという。今後は本社以外の拠点にも「SOMPOラウンジ」のような社内サテライトオフィスを拡大していく方向だ。昨年、時差Biz参加が制度利用促進につながった同社は、今年もさらなる利用者拡大を期待している。
さまざまな面からダイバーシティを推進
「ワークスタイルイノベーション」をスタートさせ、ダイバーシティの推進に力を入れる同社は、テレワークの利用も積極的に進めている。しかし、多くの社員が仕事とプライベートを分けて考え過ぎており、「テレワークを利用して自宅で仕事をしているときに、育児や介護が必要な状況が生じた場合はどうすればいいのか?」といった相談も多いという。そうした疑問の解消ができるツールとして、テレワークの具体的な活用方法や各種制度の内容を電子ブックにまとめ、社員全員がWeb上で確認できるようにしている。また、今年の3月には、企業内保育所「SOMPO KIDS PARK」を開設。保育士と毎日やりとりする連絡帳をスマートフォンで入力・閲覧することができるようにするなど、ダイバーシティ推進を積極的に進める損保ジャパン日本興亜ならではの、職場環境づくりに取り組んでいる。