ここから本文です。

インタビュー

平成29年度時差Biz推進賞-ワークスタイル部門受賞

平成29年度時差Biz推進賞

ワークスタイル部門受賞

株式会社NTTデータ

受賞理由

テレワーク環境は整っていたものの、利用者が増えなかったことから、テレワーク・デイに合わせて、テレワーク、時差通勤、休暇取得を推奨するとともに、当日の勤務予定を各職場の管理者から報告してもらうことで取組みに巻き込み、社員11,000名のうち約8,750人が参加した。【(内訳)テレワーク:2,950人、時差通勤(8時以前もしくは10時以降の出社)3,300人、休暇取得:2,500人】また、西武鉄道が時差Bizに合わせて実施した「S-TRAIN快適通勤応援キャンペーン」の乗車モニターを募集し、約50名が参加(のべ約380回の時差通勤を実施)した。

平成30年5月の創立30周年を契機に「Trusted Global Innovator」を新たなグループのビジョンに掲げ、さらなる事業のサービス化、グローバル化を推し進めるNTTデータ。そんな同社は、社員一人ひとりを大切にした個人を尊重する風土のもと、働き方改革にも力を入れており、早くからテレワーク制度を導入してきた。しかし、なかなか利用者が増えない状態の中、昨年のテレワーク・デイや時差Biz参加をきっかけに社員の意識が変化し状況が変わってきたという。そんな状況の変化や、時差Biz、テレワークの取り組みについて、ダイバーシティ推進室の杉山志保室長と来間貴浩課長にお話を伺った。

時差Bizに参加した目的

人事本部人事統括部 ダイバーシティ推進室長 杉山 志保様
人事本部人事統括部
ダイバーシティ推進室長
杉山 志保様

NTTデータは、平成18年に育児や介護など時間的制約がある社員を対象に、テレワークのトライアルを行うなど、社員の働き方改革に早い段階から取組んできた。平成20年には利用者制限をなくし全社員を対象に正式導入。そして、平成23年の東日本大震災の際には通勤が難しい社員が利用するなど、利用者は徐々に拡大していった。しかし、その後、大雪や台風など天災のときに利用する社員はいるものの、利用者数はダイバーシティ推進室の想定を大幅に下回っていた。
「そんなときに、テレワーク・デイの話を聞き、連携している時差Bizの取組も知りました。これは社内にテレワークを浸透させる良いきっかけになると思いました」(杉山室長)
また、西武鉄道から「時差Bizに合わせて“S-TRAIN快適通勤応援キャンペーン”を実施する」という話があったことも時差Biz参加の理由の一つだったと言う。
「S-TRAINは豊洲駅と所沢駅をつなぐ座席指定列車で、当社のある豊洲が発着駅であることから、西武鉄道様からお話をいただきました。キャンペーンに参加することで社員の時差Bizに対する意識が高まり、テレワーク利用者が増えることを期待しました」(来間課長)
テレワークの利用促進を目的に参加した時差Bizだったが、時差Biz期間中には時差通勤も積極的に推奨した。同社は裁量労働制とフレックスタイム制を導入しているので、8時前出勤か10時以降出勤から自分のスタイルに合った時間帯で、通勤ラッシュを緩和することを推奨したという。

具体的な取組内容

昨年度のテレワーク・デイ当日の同社フロア
昨年度のテレワーク・デイ当日の同社フロア

時差Bizをきっかけにテレワークの利用を促進するため、管理職全員に期間中において自分のチームはどのような働き方をするのかを報告してもらったという。
「アンケートを実施して、チーム内でテレワークなどを利用してどう働くかを考えてもらい、社員一人ひとりに意識づけをするようにしました」(来間課長)
その際、気を付けたのはチーム全員で考えてもらうことだったという。やりたい人や出来る人だけでとなると、利用する人としない人に分かれてしまうからだ。テレワークを利用するにはどうしたら良いかなど、チーム全体で効率的な働き方について話し合うことで、社員間コミュニケーションも活発になったという。
時差Biz期間中のテレワーク・デイ当日は、約8割の社員が、テレワーク、時差通勤、休暇取得のいずれかを活用する結果となり、成功を収めたという同社。一方、テレワークを利用しづらい環境にいる人もいることも確かだ。
「お客様先で仕事をしている社員や、システムの開発環境が限られている開発担当の社員などは、その場へ行く必要もあり、なかなか難しい側面があります」(杉山室長)
そうした開発担当の社員にもテレワーク利用の促進を図るために、3つの開発チームを対象にトライアルを実施したという。システム開発現場でもテレワークを活用できることを実証し、どのようにすればテレワークを利用できるのかを検証することが大きな目的だった。テレワークを体験した開発担当の社員からは「通勤時間がない分自分の時間が増え、気持ちに余裕を持って仕事に取組めた」「もっとテレワークを積極的に活用したい」といった声が寄せられ、手応えを感じているという。

時差Bizに期待すること

人事本部人事統括部 ダイバーシティ推進室課長 来間 貴浩様
人事本部人事統括部
ダイバーシティ推進室課長
来間 貴浩様

「当社には、テレワークをはじめ、フレックス制、裁量労働制などの充実した制度があります。後は、いかに活用しやすい環境をつくっていくかだと思っています」と言う来間課長。その環境づくりの一端を時差Bizに期待しているという。
「東京都が進める大きなムーブメントなので、都内のすべての企業が認知するように、もっと広めていただきたいですね。そうなればお客様先で仕事をする社員の環境も変わってくると思います」(杉山室長)
平行して、クラウド上に開発環境を構築し、どこからでも作業ができるように整備するなどなど、自社での努力も進めている。その他、今年度からは、月8回までといったテレワークの制限を完全になくし、“どこでも、誰でも、何回でも”利用できるようにした。また、今年はテレワーク・デイズの1週間は3日以上のテレワーク利用を促すという。さらに、管理職にも必ず1日以上のテレワーク利用を義務付ける。管理職自身に体験してもらうと同時に、管理職が利用することで、部下が利用しやすくなり利用が促進するという考えだ。
「最近は海外のグループ会社との関わりも増えてきていますが、海外ではテレワークは普通です。日本においても当たり前になることが目標ですね」(杉山室長)
「時差Bizも2020年の東京オリンピックを視野に入れていますが、豊洲はオリンピック会場や選手村が近くにあるので、今のうちからテレワークなどを習慣化していく必要があると危機感を持って取組んでいます」(来間課長)
ITの活用で社会の未来を見据えている同社は、自分たちの働き方の未来もしっかりと見据えているようだ。

ITを活用した働き方改革

未来に繋がる最新技術を体感できるコミュニケーションスペース
未来に繋がる最新技術を体感できるコミュニケーションスペース

テレワーク利用促進のために、開発環境のクラウド化を推進したり、テレワーク推進のためにサーバーを増強して、ネットワークにつながりやすくしたりするなど、環境整備に力を入れている同社。自社用にカスタマイズしたモバイルデスクトップサービスを活用して、業務の効率化も進めている。スマホで社内メールやイントラネットにアクセスできるほか、就業管理や電子決裁などもできる。以前は、上司の決裁印をもらうために上司の帰りを待つということがあったが、現在は、上司だけでなく自分自身が外出中であっても上司の決裁を得ることができる。今後も効率的な働き方に対応するようにカスタマイズをしていくとともに、社内用だけでなくクラウドサービスの外販にも注力していくという。