平成30年度時差Biz推進賞
プロモーション部門受賞
東日本旅客鉄道株式会社
受賞理由
時差Bizの広報展開にあたり、昨年度から掲出箇所、対象物を大幅に増加し、駅構内(ポスター・動画・リーフレット)、列車内(中吊り・動画)で首都圏のお客さまへ周知した。また、時差Biz期間にあわせて、「夏の早起き応援キャンペーン(2018年7月2日~8月10日)」を実施し、オフピーク通勤を推奨。加えて、混雑の見える化(車両ごとの混雑状況等)について、駅ポスターなどで掲出するなど、快適通勤実現のために注力した。
東京都内だけでなく東日本エリアに69線区1,667駅(2018年4月1日現在)を有する東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は、通勤者にとって欠かせない存在であることは言うまでもない。現在、JR東日本では、「安全・安定輸送のレベルアップ」をベースとして、「移動を楽しく、快適・便利に」の観点から、人口減少、鉄道による移動ニーズ減少などの環境変化に的確に対応して具体的な取組を進めている。そのような同社の鉄道事業者としての時差Bizの取組について、サービス品質改革部 輸送品質向上グループの宮原健吾様、八木橋拓様のお二人にお話を伺った。
時差Bizに参加した理由
朝の通勤時間帯の混雑を解消し、快適な通勤環境を提供することが、鉄道事業者としての責務と考える同社は、これまでも列車の増発や幅の広い車両の投入、混雑の見える化によるオフピーク通勤の促進等の施策を実施してきた。もちろん時差Bizにも初年度から参画している。
「時差Bizのような多くの企業・団体が参画するムーブメントと連携することで、混雑緩和に向けての効果が見込めます。鉄道事業者として時差Bizのような取組に参画するのは自然な流れでした」(宮原様)
昨年の経験やデータを元に、今年は駅ポスターや駅サイネージ、中吊りポスターやトレインチャンネル等の宣伝物の量を大幅に増やしたという同社。首都圏鉄道利用者の多くが利用するJR東日本での大々的な広告の掲出は、多くの人の目に触れ「時差Biz」の周知・定着につながっていった。
具体的な取組内容
広告の掲出を行うほか、7月2日~8月10日の期間には「夏の早起き応援キャンペーン」を実施。キャンペーン内容は、①総武線、中央線の駅から乗車し、6:00~7:45に山手線内の駅で下車すると抽選で500名にJRE POINT(JR東日本の共通ポイント)を10,000ポイントプレゼント(期間中10回以上の利用者)②山手線エリア内にある「ベックスコーヒーショップ」「ハニーズバー」で、11:00までにSuicaを利用するとJRE POINTを通常の5倍プレゼント③山手線エリア内の「マクドナルド」でSuicaを利用すると、対象の朝マックコンビメニューのドリンクのサイズアップが無料になるクーポン配布。これらのキャンペーンは、利用者から好評を得た。さらにオフピーク通勤と混雑緩和を目的に混雑の見える化にも力を入れている。「総武線各駅停車(御茶ノ水~西千葉間)」「中央線快速電車(中野~西八王子間)」の各駅に、駅ごとの混雑ピーク時間、混雑車両(号車)を示したポスターを掲示したほか、改札口付近のディスプレイにも配信した。
「朝の忙しい時間帯にじっくり立ち止まって見ていただくのは難しいため、ぱっと見てわかるように、ポスターデザインの細部にまで気を遣いました」(宮原様)
このポスター掲示は現在も継続しており、「埼京・川越線(池袋~南古谷間)」でも行っている。
時差Bizに期待すること
混雑の見える化に関して、現在は、一日に数十万人が利用する総武線、中央線等の混雑率の高い路線での展開となっているが、今回の夏の時差Biz中のお客さまの意見なども踏まえて、今後は他路線への展開や、冬季の実施内容を検討中だという。もちろん冬季もポスターやリーフレットの設置を行うなど、広告の掲出にも注力していく考えだ。
「時差Bizというきっかけを通して、鉄道を利用する皆さまに快適通勤をしていただくこと。それに向け鉄道事業者として、いろいろな取組を進めて行きたいと思っています」(八木橋様)
時差Biz参加企業との情報交換なども積極的に行うなど、様々な声を聞き、オフピーク通勤が定着することを目指している。また、自社内はもちろん、今回は1都3県にあるグループ会社にも周知し、フレックスタイム制を活用するなど、自らの時差通勤も推進しているという。鉄道事業者という立場でお客さまにオフピーク通勤を推奨するだけでなく、企業としてもオフピーク通勤に力を入れている。
全社一丸となった混雑緩和を目指して
混雑の緩和を目指してオフピーク通勤を進めていくために、お客さまに混雑状況を知ってもらうことは、とても大きな意味を持つ。混雑の見える化ポスターの他、JR東日本アプリをダウンロードすれば、山手線内の車両ごとの混雑度や車内の温度まで、リアルタイムで確認することができる。
また、鉄道利用者にオフピーク通勤を推奨する取組だけではなく、駅係員や乗務員によるアナウンスの工夫など、関係する社員一人ひとりの意識向上によって、混雑緩和に寄与する取組もしっかりと行っている。全社一丸となって、混雑緩和に取り組む姿勢が強く感じられた。