平成30年度時差Biz推進賞
ワークスタイル部門受賞
株式会社JR東日本マネジメントサービス
受賞理由
時差Bizへの参加を契機に、働き方改革の具体的な取組を加速させることを目的にリーフレットを作成し全社員に周知した。それによって時差Bizに参加していることや、時差出勤&フレックス制度、朝型勤務、テレワーク、時短勤務、スニーカー通勤&服装の自由化といった、様々な制度を活用した取組を進めていることが浸透し、時差Bizが推進された。その結果、73%を超える社員が時差出勤&フレックス制度に取り組み、7月・8月には前年比で残業時間1,246時間、総労働時間262時間の削減となった。
JR東日本マネジメントサービスは、財務業務のエキスパートとして、JR東日本グループの経営サポート、財務情報の質的向上、人材の育成に取り組んでいる。そんな同社の人材戦略の根底にあるのは「全ての人間は、自らの人生の経営者である」という考え方であり、全ての社員が豊かな人生を送ることができるような、理想的な職場づくりを目指す。その一環としての時差Bizの推進について、ヒューマンリソース部部長の吉田様、同部課長の山下様、ファイナンス事業部主任の七戸様からお話しを伺った。
時差Bizに参加した理由
経営トップを中心に働き方改革を積極的に進めている同社。働き方改革に向けた施策として2017年6月に育児・介護勤務(時短勤務)に「フレックス制度」を導入。以降、「テレワーク勤務制度」「スニーカー通勤」「早朝時間帯のフレキシブルタイム拡大と早朝手当の導入」「時短勤務の対象者の拡大」「服装の自由化」といった働き方改革施策により、順次、人事制度を改定・新設してきた。その際には、事前に社員の意見を集約して、説明会で意見に回答するスタイルをとり丁寧に進めた。しかし、五月雨式に制度を導入したこともあり、制度によって浸透度合いが違ったり、複数の制度の組み合わせといった工夫もあまり実践されなかった。
「そんな時、制度浸透に時差Bizが使えるのではないか、と考えました。東京都という大きな規模で行っている取組に参加することで、社員への周知を加速することができると考えたのです」(山下課長)
その結果、社員の制度に対する認知度が一気にアップし、今年夏の時差Biz期間中には、73%を超える社員が時差出勤&フレックス制度を利用した。また、今年7月・8月は前年比で営業日が1日多いにも関わらず、総労働時間マイナス262時間と大きな成果を上げた。
具体的な取組内容
時差Biz参加で成果を上げた同社だが、背景にはヒューマンリソース部を中心とした地道な取組や活動がある。まずは時差Bizへの参加を全社に周知させるための工夫をした。
「新たな取組を始めるという印象を与えると、面倒だと感じる人もいます。ですので、これまでの制度を活用していく取組であることを認識してもらえるように、説明には細かい部分まで気を遣いました」(吉田部長)
また、社内周知に向けてリーフレットを作成した。これには、若手社員の感覚を重視して今年度の新入社員3名が、プロジェクトチームとして参加。中心となったのが七戸主任(当時はヒューマンリソース部)だ。
「制度があってもよくわからないという人が多かったので、わかりやすさを第一に考えました。また、さわやかな朝のイメージで早朝出勤を意識してもらえるようなデザインにしました」(七戸主任)
こうした活動によって社員への周知が進み、働き方改革に対する意識も一気に高まった。例えば、財務という業務の性質上、テレワーク勤務が難しい場合がある同社では、社員に制度の活用を周知したことによって「この業務はテレワーク勤務の対象になりますか」といった問い合わせや、「制度と制度の組み合わせは可能ですか」といった社員からの相談が急増し、制度の利用につながったという。しかし、これで満足することなく、現在は、冬の時差Bizに向け新たな取組を考えているという。
時差Bizに期待すること
今回、推進賞を受賞したことでさらに社員の意識も高まっており、この状態で冬の時差Bizに取り組んでいこうという思いでいるが、冬は夏と違ったアプローチが必要だと考えている。
「冬は決算時期で、全社的に忙しくなる上、風邪なども流行る季節です。空いた電車で快適に通勤して体力を消耗しないようにしましょう。といった広報での周知を考えています」(吉田部長)
今年10月1日からは、週1回、月4回というテレワークの利用回数制限を、利用制限なしに改定。それによって10月のテレワーク利用者がこれまでの3倍に増加したという。今後はサテライトオフィスの活用など、テレワークが可能な場所の拡大についても考えていくそうだ。
「早朝出勤して夕方から財務系の資格取得のために学校に通う人なども増えています。逆に出勤時間を遅らせてオフピーク通勤する社員もいます。社員一人ひとりが自分のライフスタイルに合わせて制度を積極的に活用するようになりました」(山下課長)
今回の受賞をきっかけに、参加企業同士のつながりもできたという。人事制度に関する情報交換もしており、今後は他社とコラボした企画も実現したいと考えている。また、社員が常駐しているグループ企業にも積極的な時差Biz参加を促し、一緒に取り組んでいくことで、相乗効果を上げていくことも視野に入れている。
「人材こそが最大の経営資産」
という理念に基づいたダイバーシティ推進
全社で働き方改革に取組んでいるJR東日本マネジメントサービスは、経営陣を中心とした人事制度の改定・新設によってダイバーシティを推進している。その基本となっているのは、「全ての人間は、自らの人生の経営者である」という経営トップの考え方である。そこでは、人材こそが最大の経営資産と位置付けられている。社員がイキイキと活発に仕事をすることで自己の能力をさらにアップさせ、「一回限りの掛け替えのない貴重な人生を豊かなものにすることのできる、自由闊達で、真のダイバーシティが開花する、理想的な職場づくりを目指す」という理念が根付いている。様々な取組や制度を導入している同社は、社員の声にもしっかりと耳を傾けている。例えばこの夏の連日の暑さで、「自由な服装で爽やかに仕事がしたい」という声を受け、2018年7月に服装の自由化を試行実施、9月から本格導入にした。今後も社員からの声も取り入れながら、経営陣のリーダーシップのもと、全社レベルでの働き方改革や理想的な職場づくりに取り組んでいく。