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インタビュー

インタビュー

弁理士法人三栄国際特許事務所様

テレワークと組み合わせた3タイプの時差出勤を導入

 社会状況がコロナ禍前に戻りつつある中、多くの企業で新しい働き方について、日々模索されています。そのような中、三栄国際特許事務所では、テレワークとオフィスワークを合わせたハイブリッドワークを実践しています。

 「コロナ禍のタイミングで3つのタイプの時差出勤を導入しました。」とおっしゃる副所長の武智さんに、同事務所での取り組みについて伺いました。

<副所長の武智さん>

顧客の利益を最大化することがポリシーの歴史ある国際特許事務所

 弊所は1955年創業の国際特許事務所で、2020年に法人化し、現在は弁理士法人として事業を行っています。常にお客様の立場に立ち、お客様の事業にどれだけ貢献し、利益を最大化できるかということをポリシーとしています。

 具体的な事業内容として1番に来るのは特許・実用新案・意匠・商標等、知的財産の権利化です。次に知財経営ということで知的財産を経営に取り入れた企業のコンサルティングや代行業、その他必要に応じてセミナーや研修等も行っています。その他には特許権等の侵害等の訴訟対応のための調査や審判、ライセンスの活用や交渉など様々な業務を行っております。

 分野としては化学、機械、IT等を中心にほぼ全ての分野を扱っており、クライアントは国内海外問わず様々なメーカー、企業に広がっています。

 来年で創業70周年の歴史ある特許事務所として経験豊富な10名のスタッフとこれまでに積み重ねた知見を強みに事業を行っています。

<弁理士法人三栄国際特許事務所紹介>

柔軟な働き方が可能な勤務制度

 弊所では現在通常の出社勤務の他に、テレワークと時差出勤を採用しています。時差出勤については、通常の勤務時間が9時~17時半なのに対して、時差出勤では7時半~16時と11時~19時半の二種類の勤務時間のほかに、途中退社して残りの時間はテレワークで業務を行ったり、朝テレワークで作業をしてから午後出社というような併合勤務(テレハーフ(注1)という働き方も可能にしました。この独自の3タイプの時差出勤のうち併合勤務がとても弊所の事業内容とうまくはまりまして、割合としても併合勤務が一番多くなりました。

 歴史ある事務所なのでこれまでの働き方を変えることに対する拒否反応も最初はありましたが、同時に規定を作成し、管理は適切に行うことを示すなど工夫をしながら説得して、導入を進めました。ちょうどコロナで出社が難しいという大義名分があったため、時差通勤やテレワークもコロナ対策とあわせて導入することができました。

 また、テレワーク=コロナ対策を実施しているということでクライアントの安心にも繋がったことが、結果的に業務上の利益になり、導入の促進にもなりました。

注1:テレハーフ 半日・時間単位のテレワーク。東京都では終日のテレワークに加え、半日・時間単位のテレワーク(テレハーフ)を推奨しています

実施後のメリットやデメリットについて

 テレワーク導入までは拒否反応がありましたが、実施後はメリットを実感してもらい、おおよそ一年くらいで定着しました。現在はその快適さに慣れてしまって、逆にそこから元に戻れないという状況でもあります。

 フレックス勤務ではなく、時差出勤を導入した理由は、時差出勤は早いか遅いかという2パターンなので、就業時間の把握が容易で予定が立てやすくなることが大きなメリットでした。従業員同士の連携をとる業務が多い性質上、フレックス勤務では従業員同士の勤務時間が離れすぎてしまい、どうしても支障がでてしまうため、弊所には時差出勤が最適だと考えているためです。また、従業員からの声として、有休に影響なく子育て、介護対応ができるようになったというメリットもありました。

 遠隔でのやり取りでは極力対面でのコミュニケーション以上に意思の疎通を図るように気を付ける必要がありました。挨拶や相槌、予定確認等対面では当たり前に行えますが、遠隔では相手の状況が見えないため、コミュニケーションの質が落ちないようにグループウェア上で事細かに予定などを共有して確認しあうことが大事です。

 業務に支障が出ないようにという前提があるからこそ、機密情報を扱う業務の性質上それまであまり進められなかったデジタル化、ペーパーレス化も進めることができました。

 ツールについては基本的にはフリーソフトをうまくやりくりするなど、費用面が負担にならないように工夫をしました。グループウォッチャーやラインワークスなどシンプルでわかりやすいツールを必要に応じてカスタマイズして使っています。最初は、誰がいつテレワークをするのかエクセルの管理表を使ってわかるようにしていましたが、手間がかかるため徐々に形骸化し、最終的にはエクセルでの管理は廃止しました。

 テレワークのデメリットとして、いままで近くで作業していたものが目の届かない状況にあることから、どうしても家事やその他関係ない作業をしてしまったりして、作業効率が下がるのではという声もありますが、そういったデメリットは最低限受容するものとしてある程度寛容にとらえ、メリットに目を向けることにしています。

今後の展望について

 現状では今の形が理想に近いですが、機密事項を扱う業務の性質上、カフェやシェアオフィスでの作業は不可としており、在宅での作業でも自分のPCを使用するのではなく、オフィスのPCをリモートで使って作業してもらっています。今後さらに設備投資をしたり、技術の進歩でセキュリティが担保できれば、カフェや外での作業もできるようになる可能性もあります。

 また、コロナ禍で経験したようにその時々の世論や時流にあわせて働き方をかえていくことで企業価値を高めたり、社会貢献に繋がるといった側面もあり、よい企業ブランディングにもなります。今後もその時々でできることがあれば柔軟に対応していきたいです。

※詳しい弁理士法人三栄国際特許事務所の業務内容については、ホームページをご覧ください。

http://www.san-a-pat.com/(外部リンク)