ここから本文です。

インタビュー

インタビュー

株式会社ザイマックス

株式会社ザイマックスの関戸マネージャー(左)と十川氏(右)
株式会社ザイマックスの関戸マネージャー(左)と十川氏(右)

「テレワークは、東京2020大会期間中の交通混雑緩和に効果的な働き方であるとともに、東京の成長の鍵となる生産性の向上や多様な人材の活躍等の効果が期待できます。

今テレワークの形態として、自宅を就業場所とする在宅勤務や、外出先や移動中に就業するモバイルワークに加え、所属するオフィス以外の施設を就業場所とするサテライトオフィス勤務があります。

そこで、サテライトオフィス勤務が拡大している背景、活用状況、東京2020大会に向けての企業の関心の高まり等について、株式会社ザイマックスのジザイワーク事業部の関戸マネージャーと十川(そがわ)氏にお話をうかがいました。

xymax(ザイマックス)の紹介

ZXY 三鷹のオープンスペース
ZXY 三鷹のオープンスペース

「働く場所をジザイに」をコンセプトに、都心、郊外の55拠点(2019年10月現在)で、企業向けに、サテライトオフィス「ZXY(ジザイ)」のサービスを提供しています。現在は、オプションサービスとしてキッズスペースを提供するなど、利用者のニーズを的確に把握した対応も注目されています。

また、企業の皆様にテレワークの環境を提供しつつ、自社でもサテライトオフィスでのテレワークを推進しています。

テレワークをする場所としてのサテライトオフィス

この夏のスムーズビズ推進期間(2019.7.22~9.6)中は、多くの方がテレワークを経験したのではないでしょうか。自宅でテレワークをされた方の中には、集中しにくいと感じられた方もいたかもしれません。

当社サテライトオフィスのユーザーに「理想のテレワーク場所」について、アンケートを実施したところ、自宅に近い場所のワークプレイスが求められているという結果が出ています。当社は都心のみならず、自宅近くで働きたいというニーズの受け皿にもなりうる郊外居住エリアにもサテライトオフィスを提供しています。

また、利用による効果としても、「移動時間、通勤時間が減った」「集中して仕事ができた」「ストレスが減った」などの声を頂いています。

理想のテレワーク場所
理想のテレワーク場所
ZXYを利用したことによる効果
ZXYを利用したことによる効果

サテライトオフィスへのニーズの高まり

「働き方改革」という言葉を耳にするようになった頃から、サテライトオフィスのニーズを感じてきました。当社が営業を本格的に開始したのは2016年4月ですが、当時を振り返ると、サテライトオフィスの話をしても、相手はピンとこない状態でした。まだ首都圏に数拠点しかない状況で、認知度も高くありませんでした。

それが、20拠点以上に拡大し、山手線沿線をカバーできるようになると、利用者の方に使いやすいと認識していただけるようになりました。拠点が倍以上になったので、「ここにもある」と思っていただけたようです。利用者数はサービス開始時から右肩上がりで、その後退会する企業もごく僅かです。2019年8月時点で、会員数は約21万人、契約企業は約1000社にまで増加しました。

会員数・契約社数推移
会員数・契約社数推移

セキュリティ環境の不安の解消

同じ2017年の秋頃から、大企業を中心に、「『働き方改革』に取り組む旨をリリースしたものの、何をどうしたらしたら良いのかわからない」という内容の問い合わせが急増しました。企業側は、社員が喫茶店などで仕事をすることに不安を感じているようでした。集中できず生産性が下がる、パソコンの画面が覗き見される、インターネット接続時の情報漏洩、電話通話、web会議の音声漏洩、などです。

そのため、社員が安心してテレワークできるよう、種々の安全を担保し、情報セキュリティの面で、社員個人が責任を取らなくても良い環境が必要になりました。

当社が提供するサテライトオフィスでは、利用者が契約企業の社員の方に限定されていますし、多く用意されている個室を使えば、覗き見もされません。遮音対策のボックス型個室では、電話・web会議の声も漏れません。空席があるかわからない喫茶店ではなく、自席を予約できるのもメリットの一つです。

また、利用の際は、スマートフォンで表示可能な二次元バーコードで入退室しますので、そのログを労働管理、勤怠管理にも利用できます。

利用状況の変化

サテライトオフィスのサービス開始当時の名称は「ちょくちょく…」でした。直行、直帰などちょくちょく、止まり木的に使ってください、という意味合いでした。ところが、山手線沿線に拠点を増やしたところ、利用者の使い方が成熟し、半日、一日という形態に変わってきました。利用実態を勘案し、働き方、働く場所を自在に変えられる事を表現する「ZXY(ジザイ)」にサービス名称を変更しました。

ニーズの高まりに対応するため、東京2020年大会までに拠点数を100にしたいと考えていますが、それでも、まだまだサテライトオフィススペースは足りない、という認識です。大会時に向けたテレワーク環境整備という観点から見ると、当社の事業には社会貢献的要素も含まれていると思っています。

都心部と郊外との利用状況の違い

都心部の拠点では、外出中、時間が空いた時や、次のアポイント先まで時間がある時に「ちょこっと」使われるが一番多い利用方法です。個室、ブース席がメインです。一日何ヶ所でも、どの拠点でも使えます。ZXYをご利用頂くことで、1回あたり平均55分の時間が短縮されたというデータもあります。本社に戻らず、アポイント先から次のアポイント先に移動できるからです。時間のみならず、交通機関利用運賃の節約にもつながります。セキュリティも確保されていますし、喫茶店など公共エリアで仕事をするよりも集中できるので、生産性アップが期待できます。

郊外の拠点では、長時間の利用が多いため、オープンスペースも取り入れ、空間も広く取っています。時差Bizを促進するものとして、混雑する朝の出勤時間帯に拠点で仕事してから出社する使い方に加え、都心での業務を早めに終了し、帰宅ラッシュ前に電車に乗り、自宅近くの拠点で続きの仕事をしてから帰宅する使い方もされています。

ZXYを利用したことにより短縮された時間
ZXYを利用したことにより短縮された時間

BCP強化のためのサテライトオフィス活用

スリーエスの3つのSはSafety、Speed、Serviceです。中でも大切なお客様の安全であるSafetyを最も大事にしており、そのために徹底した品質管理を行っています。そして、当社は社員のSafetyも大切にしています。

台風や大雪の際に、自宅や自宅付近のサテライトオフィスで仕事ができれば、BCP(事業継続計画)面で備えをしていることにもなります。9月9日には、台風15号襲来の影響で朝の通勤時間帯に、多くの路線で電車がストップしました。通常、月曜日の拠点利用率は低い傾向がありますが、拠点の9割は通常どおりの午前8時にオープンして、スムーズビズ推進期間中並みに利用していただきました。災害に備え、準備しておくに越したことはないと感じた日でした。

キッズスペース

キッズスペースの様子
キッズスペースの様子

待機児童の問題が高まる中で、「働くママさんのために何かできないか」と考えたのを契機に、3年前から整備を進めてきました。会員企業様からのご要望も受け、品川拠点に最初のキッズスペースを設置しテストを経た後、エリアごとのバランスも考えながら、現在14の拠点に設置しています。幼稚園、保育園に急に預けられなくなった時、いつも面倒を見てくれる家族の体調が急に悪くなった時、長期休校時、早く下校する日などに利用していただければと思っています。

夏のスムーズビズ推進期間中は、「子連れワーク体験キャンペーン」を開催して、キッズスペースを無料で利用できるキャンペーンを実施しました。今後、子供を連れて来て働くということが、社会的に求められる可能性もあります。キャンペーン中に利用者からは、普段よりも格段に多いアンケートの回答が寄せられ、我々も子連れテレワークへの興味、意識の高さを認識した次第です。

当社自らのテレワークの活用状況

営業スタッフや事務スタッフがテレワークを実施しています。勤務場所は、本社か自社社員専用のものも含めた各サテライトオフィスです。現在、自宅という選択肢は設けておりませんが、テレワーク推進の立場ですと、仕事場所の選択肢に自宅があっても良いと考えています。在宅、サテライトオフィスにそれぞれ長所・短所がありますから、使い分けできるとベストです。

また、テレワークをどのように行うかについては、各部署が個別に話し合ってルールを決めて運用しています。テレワーク推進部署が一律に運用を指示するよりも、その方が自分のものになるという考え方に基づくものです。

遠隔の会議も数年前から実施していますが、運用当初は発言が被ることが多々あるなどストレスを感じていましたが、徐々に改善していくことで、現在はストレスなく会議を進行することができています。

東京2020大会時に向けた更なる関心の高まりと企業が抱える課題

既に「大会期間中は本社に出社させない」ことをプレスリリースしている企業もありましたし、スムーズビズ推進期間前には、多くの企業で本番前の予行演習のきっかけを欲しがっている様子でした。6月頃からは、業種を問わず、大企業を中心に問い合わせが殺到して、「何とかしなくちゃ」「これを機に大会に向けて取り組みを進める」という意気込みが伝わってきましたし、「2週間で契約できないか」といったご要望もいただきました。

一方、「社員に公平にテレワークさせたいが、そうできない職種がある」との声も多いです。例えば、社内のフォルダにアクセスできる専用回線がないと業務ができないので、結果的に本社で働かざるを得ない、といった理由があります。「テレワークは全体の20%くらいしかできていない」、という企業もあります。当社は、場所とセキュリティ面の問題をクリアするため、事業の切り分けについてのコンサルティングのようなご相談に乗ることもあります。

テレワークの普及に向けてスムーズビズに期待すること

スムーズビズ推進期間は非常に盛り上がりましたが、今後も、「テレワークのような新しい働き方が、企業にも働く人にもメリットがあり、社会の生産性向上につながる」、という機運が高まり、社会全体に定着して盛り上がってほしいと感じます。

当社としても、テレワークの普及に必要な環境整備のため、企業に十分にヒアリングなどをしながら取り組みを進め、これまでのオフィスの概念を変えて行きたいと思います。

資料出典:株式会社ザイマックス