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インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

株式会社バイタルネット

(2021年12月13日インタビュー実施)

 新型コロナウィルスの感染症拡大防止をきっかけに、取組を開始しました。

 物の流れについては、オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)による人流の増加に備えて、対策を検討していました。

人の流れに関する取組――――――――

■既存のインフラを活用しテレワークを推進

 テレワークは、東京2020大会に備えての取組ではなく、新型コロナウィルスの感染症拡大に伴い、社員の感染リスクを抑えるため、営業部門や管理部門等でテレワークを実施しました。

 出社率は常時50%とし、2班が交代で出社していました。

 コロナ禍になってから、特別にインターネット環境等を整備したわけではなく、既存のインフラで問題なくテレワークを実施できました。

物の流れに関する取組――――――――

■配送の遅延や薬剤等の在庫切れが起きないよう留意

 自社は、医薬品の物流を扱っており、配送の遅滞は患者さんの生命を脅かすため、配送の遅延や薬剤等の在庫切れが起きないよう気を遣いました。

 特に、東京2020大会時はコロナ禍でもあったため、必要な薬剤の種類も増え、薬剤の物流自体が増えていました。このため、得意先には極力、薬剤の在庫を多く持っていてもらうよう要請しました。これは「得意先の倉庫の容量を超えない範囲で」という要請であり、全ての薬剤の在庫をカバーできたわけではありませんでしたが、東京2020大会が無観客開催となったことで、思ったほど支障はなく、スムーズな物流となりました。

 得意先も、コロナ禍と東京2020大会が重なっている状況下では、このような対策が必要であることは理解していたため、こちらからの要請も抵抗なく受け入れられました。

■「大会輸送影響度マップ」等をもとに、事前に配送ルートをシミュレーション

 配送ルートをシミュレーションする際に、東京都からの「大会輸送影響度マップ」や、交通規制に関する情報を参照しましたが、実際には遅延がありませんでした。

東京2020大会を振り返って――――――――

 東京2020大会が当初の予定通りに開催されていれば、恐らく、より多くの問題が発生したと思いますが、無観客開催だったため問題は起きませんでした。

 無観客開催の決定をもっと早くに出してもらえれば、検討時間も少なく、余計な会議等も開かなくて済んだと思います。

 個別コンサルティングでは、自社のような患者の命に直結する医療品の物流については、例えば、交通規制がかかっている道路でも、パスを提示すれば通行可能にする等の措置はできないかと相談しましたが、「個別の現場の判断で対応する」との回答でした。

 今後、都心部において東京2020大会のような大規模イベントが開催される際には、通常の物流と、医療等の人の命に直結する物流とは扱いを分けるべきだと思います。

今後について――――――――

 現在(2021年12月13日時点)は、新型コロナウィルスの感染状況が落ち着いてきたため、全員出社しています。今後もコロナ禍が拡大しない限り、基本的に全員出社としています。