株式会社キノミヤ運送
(2021年11月30日インタビュー実施)
コロナ禍となり、元請事業者からの通達を受け取組を開始しました。
人の流れに関する取組――――――――
■働き方改革の一環としてオフピーク通勤を促進
自社は、食品製造加工業と運送業が主であり、テレワークを実施できない事情がありますが、働き方改革の一環として、通常8時からの出勤を、9時、10時、11時の3段階として業務の状況等を鑑みて選択できるようにしました。これは現在も継続して実施しています。
配送については、配送自動車7台を専属ドライバー6名で回しています。自社では夜勤はありません。
配送センターは千葉(船橋)、埼玉、神奈川にありますが、ここでも2交代制の時差出勤を導入しています。
自社は、同業他社と比較してそれほど残業は多くなく、月間60時間程度の残業を目指して取り組んでいます。
顧客は元請事業者のみで、稼働時間も日中のみとなっているため稼働時間の調整もし易い。24時間勤務も不定期ではありますが、3交代制としているためドライバーの残業などの問題はありません。
■社内外ともに会議等のオンライン化
社内会議は100%オンライン化され、主にZoomを使用しています。また、配送センターでも同様にオンライン会議を実施しています。
社外についても、顧客である元請事業者との定例会議はオンライン化されています。
■書類等の電子化
本社では支社、営業所と比較して電子化が進んでいます。
自社では、帳票関係や本社への請求書等はスキャンを取った後、メールで送信する形式となっていますが、これ以外はまだ紙媒体となっています。
物の流れに関する取組――――――――
各種の取組は、オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)の開催決定がきっかけでした。
人の流れと同様、元請事業者からも東京2020大会を見据えた検討開始の指示がありました。
■事前に配送遅延をアナウンスすることでリードタイム等を調整
元請事業者からの指示もあり、東京2020大会により配送が遅延する可能性がある旨を元請事業者以外の顧客にも説明の上、協力のお願いを行いました。
通常は、リードタイムが3日のところを3.5日や4日に緩和することができ、結果、在庫を余すことなく、最終的には足りなくなるほどでした。
江東区の木場に工場の拠点があり、配送センターを経て千葉・埼玉・神奈川の関東圏に配送しています。配送センターで在庫をストックしていました。
東京2020大会が無観客となり、一般道に若干渋滞は発生していましたが、高速道路は空いている状況でした。交通規制がかかっていた箇所は閉鎖されており、迂回せざるを得ない状況でした。
事前に配送の遅延等はアナウンスして理解を得ていたため、特に問題はありませんでした。
■配送深度やルートを見直し、まとめて配送
積載効率の見直しにより、配送台数の変更を行いました。
これまで1台で3~4か所の拠点に配送していましたが、非常に配送効率が悪かったため、各拠点6~7か所を曜日でまとめて配送するようにしました。
これまで3回配送していたところを、配送量もギリギリとして2回としたことにより、稼働台数を減らすことができ、荷受けの待ち時間も減らすことができました。
■同業他社と連携し、対策を検討・実施
運送会社5社と連携し、配送効率が悪いルートは相互に代替運送することで効率化を図りました。
連携他社は信頼できる企業を選定し、各社の拠点に配送、または荷受けに来る等によって行っています。
本取組のきっかけは、東京2020大会やコロナ禍以前のトラック協会の集まりで交流したことにあり、現状の問題点とそれに対して何かできないかと協議した結果がこの取組につながりました。この取組は2021年からの取組であり、具体的な事例はあまり多くありません。
■2020TDM推進プロジェクトからの各種情報の活用
東京都から提供された情報については、どこに交通規制がかかるか等、ドライバーとの打合せ等でかなり活用させてもらいました。
東京2020大会を振り返って――――――――
東京2020大会やコロナ禍をきっかけに、業界としても物流の効率化に向けた改善策の検討に拍車がかかりました。
自社としても、会議等のオンライン化が促進され、より効率化が図られたと感じています。
一方、お盆期間中は荷物が多くなるため、これに備えるためにお盆の前後で稼働しなければならず、社員の休日を変更せざるを得なくなりました。東京2020大会開催中は、このお盆とその前後分の休日を充てることで製造も運送も稼働率を下げるようにしました。
今後について――――――――
人の流れに関する取組みについて、オフピーク通勤と会議等のオンライン化は、今後も実施していく予定です。
また、物の流れに関しても、発注数量の調整は今度も継続していきます。