ここから本文です。

インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

丸富興業株式会社

(2021年12月15日インタビュー実施)

 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)の開催に伴う都心の交通規制や人流の増加等、通勤時のリスクに対応するため、2020TDM推進プロジェクトに参加しました。

 東京2020大会のために準備を進めていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テレワーク等の取組みを前倒しで始めることになりました。

人の流れに関する取組――――――――

■トップダウンの指示によるテレワークの管理

 テレワークの準備は、コロナ禍以前から進めていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大速度が想定以上に早く、急遽テレワークを導入する会社も多かったため、パソコンの手配に2、3か月ほど遅れが生じましたが、全社的にテレワーク環境を整えることができました。

 テレワークの実施にあたっては、社長の指示により「週3日までのテレワークを許容」として、業務に影響が出ないよう各部門で調整を図りました。部門長が出社率を管理して会議で共有しており、東京2020大会期間中のテレワーク実施率は4~7割程度でした。

■社員の裁量に任せたオフピーク通勤

 新型コロナウイルス感染症対策として、オフピーク通勤を実施しました。

10:00~16:00をコアタイムとし、出勤時は前後に幅を設けて、混雑を避けた出社を推奨しました。

 出勤時間については、通勤電車の込み具合がそれぞれ違うため、社員各自の裁量に任せました。

物の流れに関する取組――――――――

■「大会輸送影響度マップ」の共有

 自社は、ガソリンや軽油等の燃料を、タンクローリー等でガソリンスタンドや工場に輸送することを主な業務としています。

 これらの燃料は、人々の生活に直結する社会インフラ的な要素が強いため、基本的に遅配等は許されず、元請の指定した時間内に届けなければならないものです。

 東京2020大会期間中は、交通規制や混雑情報等を参考に、運行管理者や配送担当者がルート及び配送時間等を考えて決定をして稼働していました。

 その際には、「大会輸送影響度マップ」や、交通規制に関する情報を運送部門の担当者で共有し、参考にしていました。

東京2020大会を振り返って――――――――

 当初、東京2020大会に備えて準備していたテレワークを、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に伴い前倒しで導入することになりましたが、中小企業は大企業のように人力を多く投入できるわけではないので、テレワーク等を導入する際の制度づくりに時間がかかりました。

 日々の業務をこなしながら制度構築を行うことが難しかったと思います。

 テレワークに対する意識は部署によって温度差があり、例えば営業部門ではテレワークが導入しやすかった一方、経理部門等、出社しなければ業務が成立しない部署では不評でした。このため、テレワークを実施しやすい部門とそうでない部門の間に不公平感が生まれないように努力しました。

今後について――――――――

テレワーク及びオフピーク通勤については、今後も継続していく方針です。