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インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

ラボコープ・ジャパン合同会社

(2021年12月21日インタビュー実施)

 自社は、以前より東京都の「働き方改革宣言」に企業として申し込んでおり、残業時間の削減や有給休暇の取得率上昇など、従業員のライフワークバランスの推進に取り組んできました。

 テレワーク等の取組も、もともとは働き方改革の一環でしたが、オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)の開催や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い全社的に推進することになりました。

人の流れに関する取組――――――――

■検査チームを2班に分けてローテーションを組みテレワークを実施

 自社は、病院施設から送られてきた検体の検査を主な業務としているため、検査を担当する社員は出社しなければ仕事ができません。このため、2020年4月にテレワークを導入した当初は、社員の戸惑いが大きかったように思います。

 緊急事態宣言下では、検査チームを2班に分け、ローテーションを組んで交互に出社、半分はテレワークとすることで新型コロナウイルスへの感染リスクを抑えました。

 経理部や営業部等のバックオフィスの社員については、テレワーク実施率をほぼ100%とし、検査チームを含めてもテレワーク実施率は70%を維持しています。

■事前にトライアルを行いオフピーク通勤の実施可能性を検証

 東京2020大会の開催による人流増加に対応するため、全社員のオフピーク通勤も検討していました。大会前にはトライアルを行い、オフピーク通勤が実施可能であることを実証しました。

 東京2020大会が無観客開催になったため、全社的に行う必要はないと判断しましたが、一部、バックオフィスではオフピーク通勤を実施しています。自社はアメリカに本社があるため、早朝5時に出社することで、時差のあるアメリカ本社とのコミュニケーションを効率的に行うことができます。早朝に出社して、その分早めに退社する社員もいました。

物の流れに関する取組――――――――

■東京2020大会前に備品等をまとめて購入

 東京2020大会時の人流の増加により、検体や検査に使用する備品等の配送に影響が出る可能性がありました。

 このため、検査に使用する備品や文具等に関しては、東京2020大会前に4か月分をまとめて購入し、大会期間中に発注する必要がない状態にしていました。

■都内の混雑状況を想定し社員が直接検体を引き取りにいく体制を検討

 通常、検査に使う検体は都内の病院等から配送してもらうのですが、東京2020大会時には渋滞や交通規制等の影響で遅延が発生することが想定されました。

 このため、都内の道路混雑が予想されるエリアにある施設などには、社員が直接検体を引き取りに行くこととし、先方にも伝えて調整を行っていました。

 また、取引のある配送会社等にも、遅延が発生する可能性があることを伝えていました。

東京2020大会を振り返って――――――――

 東京2020大会に備え、2020TDM推進プロジェクトの個別コンサルティングにも参加していました。自社のような臨床検査会社が東京2020大会期間中にどのような対策を取れば良いか、具体的な事例を伺いたかったのですが、同業他社の情報がなく、あまり参考となる情報は得られませんでした。東京都には、医療関係の会社向けの情報発信の量をもっと増やしてもらいたいと思います。

 病院に社員が直接検体を取りに行く等の取組は、東京2020大会が無観客開催となり、人流増加の影響がないことが分かったため、結果的には実施しませんでした。また、配送の遅延も発生しませんでした。

今後について――――――――

 テレワーク等の取組みは就業規則にも規定しており、今後も継続していく方針です。  今後、都内で東京2020大会のような大規模なイベントが開催される際には、今回実施・検討した備品等の事前購入や、病院に社員が直接検体を取りに行く等の取組を実施していく予定です。