ここから本文です。

インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

株式会社サートプロ

(2021年12月1日インタビュー実施)

 事務所が代々木にあり、国立競技場も近いため、オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)の開催時には会社周辺の混雑が予想されました。

 以前から、ノートパソコンを用いて外出先からリモートワークを行うことは日常的に行われていましたが、東京2020大会に備え、全社的なテレワーク制度の導入を検討し始めました。

人の流れに関する取組――――――――

■「はじめてテレワーク」を利用してテレワーク環境を整備

 東京2020大会での混雑に対応するため、2019年に東京都の「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」を申請し、その補助金で機器や設備を整え、全社的にテレワークを導入しました。

 それまでは、リモートワークやテレワークを行う際の社内規則等はありませんでしたが、「はじめてテレワーク」の申請を機に、就業規則に規定しました。

 テレワークの導入当初は、まだ会社に出社して仕事をするべきという風潮が強くありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、否応なくテレワークをせざるを得なくなりました。

 新型コロナウイルス感染症拡大後は、社員は原則100%テレワークとし、資料の印刷やお客様対応等、出社しなければできない業務の場合にのみ出社を認めていました。

■オフピーク通勤で柔軟性を持たせた勤怠管理

 新型コロナウイルス感染症拡大後は、出社自体が限定的となりました。出社する場合の出勤時間は各人の判断とし、出来る限り混雑する時間を避けるなど、早出や遅出をして出社するよう推奨していました。

■様々なシステムを利用したオンライン会議

 新型コロナウイルス感染症対策として、社内での会議や打合せは全てオンラインとなり、お客様からもWEBでの打合せの要望が増えました。

 お客様によっては、使えるWEB会議システムが異なることもあるため、Zoom、Teams、ハングアウト等、様々なWEB会議システムを導入して対応しました。

 しかし、地方銀行や自治体等では、民間のWEB会議システムを使えないことも多く、スマートフォンのビデオ通話や、電話での対応となることもありました。

■「見積管理システム」の導入による手続きの電子化

 「見積管理システム」を導入して、お客様への契約書類等は紙媒体・PDFどちらでも対応可能にしました。

 社内やパートナー契約を結んでいる企業には、基本的に紙媒体は廃止して電子化しています。

東京2020大会を振り返って――――――――

 もし、東京2020大会や新型コロナウイルス感染症の拡大がなければ、テレワーク等の取組や、それらの取組を全社的に行うための制度の整備は考えられなかったと思います。東京2020大会と新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会的にも大きな転換点になったのではないでしょうか。

今後について――――――――

 今後も、テレワーク率100%は継続していく方針です。

 テレワーク導入前は、仕事の分担や各人の役割が曖昧な部分もありましたが、テレワークの導入により社員個々人の業務に対する目的意識が明確になり、効率的に仕事ができるようになったと感じています。

 また、通勤する必要がなくなったため、これまで1時間以上の長時間通勤をしていた社員にも業務パフォーマンスの向上が見られたことは収穫であったと思います。

 一方で、お客様と顔を合わせる機会が減ったのはデメリットだと思います。WEB会議によるコミュニケーションの問題はなかったのですが、初めてお会いするお客様と名刺交換をすることができなくなってしまいました。これまでは、名刺管理システムで社内の誰が、どのお客様の対応をしているか等の情報を共有しており、取得した名刺は会社の資産でした。しかし、対面での打合せが激減し、名刺交換が出来なくなったことで、誰と誰が関係しているのかが分かり辛くなってしまいました。この問題については、まだ解決策を見出しておらず、今後の課題となっています。