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インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

株式会社フロンティア技研

(2021年11月5日インタビュー実施)

 自社では、オフィス家具やレイアウトを検討するのがメインの商材であるため、営業担当が多く、働き方改革に伴って、外勤の業務は12~13年前からフリーアドレス、テレワークの環境を進めていました。

 業界的な動きもあり、働き方の変化に合わせ、4年前から内勤の業務もテレワークに移行していこうと考えていました。

人の流れに関する取組――――――――

■代表電話を在宅勤務者も受電できるシステムに変更し、電話のための出社を削減

 出社率は、約30%程度を目指しました。

 もともとテレワークのノウハウは持っていたため、移行はスムーズに行えました。

 内勤者のテレワーク移行は4年前頃から始めており、東京都の助成金も活用できたためパソコン等の機材も最低限以上を確保することができました。

 出社率を下げるため、自社の代表番号にかかってきた電話を在宅勤務者でも取れるようなシステムに変えました。

 これに合わせ、通勤定期代の支給を廃止し、実費精算に切り替えました。  社員全員がICTに詳しいわけではないので、まずそれを理解させるのが大変でした。テレワークに絡み、パソコンの不具合が発生しても各自で解決できないため、問い合わせが担当に殺到する等、大変な面もありました。

■サテライトオフィスの利用促進

 2、3年前から、営業が帰社しなくても良いように、民間のサテライトオフィスを五反田駅周辺に1か所借りていて、ほぼ毎日、便利に使っています。

 自社の方針として、品川・五反田周辺エリアの顧客へのアプローチ拠点としての位置付けで借りていますが、結果的にはオリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」という。)期間中も利用でき、良い取組となりました。

 また、現在、本業のビジネスとしては、社内のフリーアドレス化について、本社機能やサテライトオフィス機能、コワーキングのようなシェアオフィスの考え方を組み合わせた提案を行っています。フリーアドレス化のみを取り入れると、今まで以上にオフィスに人を詰め込み過ぎてしまうこともあり得るため、オフィス移転のタイミングで、働き方の全体像を見直した上で、テレワークの実現やサテライトオフィスの要素を組み合わせることで、フリーアドレス化を取り入れながらもオフィスの規模は縮小させたい、という案件が増えています。

■会議等のオンライン化の利用拡大

 コロナ禍もあったため、WEB会議の開催が多くなりました。

■営業担当の裁量を拡大し上長の承認作業を減らして効率化

 勤怠管理は、以前より電子化に移行されています。押印行為も電子化し、出社しなくても済むようにしています。

 営業担当者の裁量の権限を拡大することで、上長の承認作業を減らし、業務の効率化も図っています。

■社用車の利用の削減

 テレワーク勤務やサテライトオフィスの活用により、社用車の利用頻度は低くなりました。また、社用車を取りに来て、返却するという無駄を省くため、カーシェアリングの活用も開始しました。

物の流れに関する取組――――――――

 東京2020大会期間中の交通規制による納品遅延等を懸念しており、過去にも、交通規制により納品ができなかったこともあったため、検討を開始しました。

 取り扱っている商材はオフィス家具等のサイズの大きなものとなります。

 主な納品先は、東京2020大会の中心地が多いため、大会日程や配送ルートも確認しておく必要がありました。

■事前に遅延の可能性を周知。WEB朝礼の開催時にも留意事項等を共有

 東京2020大会が延期される前は、2020TDM推進プロジェクトからの各種情報を閲覧することはありましたが、東京2020大会の延期や無観客開催の決定、新型コロナの感染拡大により、物流にあまり影響がないことが分かったため、それ以降はあまり見ることはありませんでした。

 一部の顧客に対して、メールで納期を回答する際に「混雑により遅れる場合があります」と通知しました。文書での案内は出していません。

 オフィス家具等も、東京2020大会期間中は配送の時間指定は受け付けず、配送前日に配車ルートが決まるため、その時点で到着時間等を周知しました。

 納品のペースを維持するため、コロナ渦になってからは毎朝WEB朝礼を行い、配送時に気を付ける点や気づいたこと等を共有するようにしました。

東京2020大会を振り返って――――――――

 東京2020大会の延期や無観客開催の決定、新型コロナの感染拡大により、納品数も減ったため、物流に殆ど影響はありませんでした。

 一部の顧客から納品遅延の連絡はあったものの、数件程度でした。年度末の3~4月頃の業界的な需要期に比べると、大きな混乱にはなりませんでした。

 2020TDM推進プロジェクトは企業自ら参加する形でしたが、必ずしも全ての企業がルールを守るわけではないため、強制的に参加させていくことも一案であると考えます。

今後について――――――――

 人の流れに関する取組について、テレワークは今後も継続して促進していきます。

 また、これまでは飛び込み営業を行っていましたが、メール戦略やDM戦略を展開しながら、オンラインに切り替えていくことも考えています。ただし、飛び込み営業が受け入れられるところもあるため、営業手法については検討していく必要があると考えています。

 請求書、契約書関係の電子化については、法律が変わることも視野に入れつつ、今後の検討課題となっています。

 物の流れに関しては、例えばこのような大きなイベントの前に利益を確保し、イベント期間中は休むことが理想と実感しました。

 今後も大きなイベントが開催される際には、様々な調整を検討していきたいと思います。