株式会社みなみ企画
(2021年11月12日インタビュー実施)
東京2020大会より以前に、東京テレワーク推進センターで開催されたセミナーでテレワークのことを学んでいた際、2020TDM推進プロジェクトの取組を知りました。その後、テレワーク導入の準備を進めていましたが、新型コロナの流行に伴い、それが加速していきました。
人の流れに関する取組――――――――
■専門家のアドバイスを受け、準備・取組を推進
2020年2月頃に、東京テレワーク推進センターのセミナーに参加するとともに、専門家を派遣してもらい、アドバイスを受けながらテレワークを導入しました。
この結果、出社率60%を実現できました。
テレワークの導入にあたっては、『テレワーク東京ルール実践企業宣言』に近いものを準備のうえ、東京都のテレワーク促進助成金を活用しました。ですが、新型コロナの流行により、他企業でもテレワークの導入が推進されたことで、当初予定していたパソコンの入手が困難になりました。このため、当時は社内のパソコンを自宅に持ち帰ることで対応しましたが、非常に大変だったことを記憶しています。
また、助成金は機器1台あたり10万円までの補助となるため、あまり良いスペックの製品を揃えることができませんでした。購入した機器は、結果的に業務での使用には難しいものとなりました。
テレワーク導入による勤怠管理は、専門家からのアドバイスをもとに勤怠ツールを導入したことから、特段、苦労はありませんでした。
テレワークは、就業規則にも規定しています。
■オフピーク通勤(時差Biz)の推進
勤務時間に影響のない管理職は、朝7時頃に出社し、早い時間に退社して、その後リモートで勤務する等のオフピーク通勤としています。
一般社員は、顧客対応があるため通常勤務となっています(勤務時間は9時~18時)。
新型コロナの流行もあり、それまで認められていなかった自動車通勤も可としました。
■オンラインでのレクリエーションなど、オンライン会議等を多用
社内で1日3回、短時間のオンライン会議を開催し、連絡や引継ぎ等を共有しています。
社外においては、大手企業ほど対面会議の規制が厳しく、オンライン会議が多くなりました。新規顧客への営業活動においても、対面での実施は難しいと断られることが多くありました。
テレワークを進める中で一番問題になるのが、社員のメンタルという話は聞いていました。このため、1日3回オンライン会議を行うことで、仕事量や業務で困ったこと等について、いつでも相談できる環境にしました。
テレワークが根付いてきたため、これまで実施していなかったラジオ体操を、朝と昼に全社員で実施するようになりました。また、朝は、1人5分程度のスピーチの時間をオンラインで設け、今、自分にとって一番の良いニュースや『気づき』、こんなことができるようになった等の情報や価値観を共有することで、メンタルヘルスケアを行うようにしています。
■計画休暇の取得はトップダウンで促進
東京2020大会に合わせて、顧客の担当ごとに調整しながら、1週間程度の計画休暇を交互に取得しました。
計画休暇の取得は、社長発信によるトップダウンで促進されました。
■Webサーバーの導入でどこからでもアクセス可能とすることで書類等の電子化を促進
書類等の電子化の準備として、Webサーバーを導入し、社員がどこからでもアクセスできるようにしました。アクセスできる情報レベルも、同時に社員ごとに設定しています。
顧客によっては、現在でも紙媒体でのやりとりが必要なところもあります。
自社では電子押印を試行していますが、電子押印を導入するためのコストは中小企業では高すぎる等の難しさはあります。
物の流れに関する取組――――――――
■発注時期の顧客への事前の周知
東京2020大会時に発注案件が集中してあったわけではありませんが、顧客に対しては、口頭で「納品が遅れる可能性がある」旨は事前に説明していました。
東京2020大会が無観客開催となり、結果的に実際の影響はありませんでした。
東京2020大会を振り返って――――――――
配送会社より、「都内の配送には時間がかかる」と連絡は受けていましたが、「いつ着いても良いので配送してほしい」とお願いして対応してもらいました。
発注時期について、調整できるものは調整しましたが、結果、無観客開催となったことから、効果の程度は実感としては湧きませんでした。
今後について――――――――
人の流れについては、今後もテレワークは実施する予定です。ただし、週に1~2回は出社日を設定する予定です。
データのセキュリティ対策は、今後も検討していく必要があります。
また、印刷物の製造(DTP)では原稿を顧客から預かりますが、これはPDFの場合もあれば、紙媒体の原稿の場合もあります。紙媒体の場合、自宅に届ける等の無駄な動きが発生するため、今後、これをどのように省いていくかが今後の課題となっています。
物の流れについては、今後も大きなイベントが行われる際には、同様の対応を実施していきます。