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インタビュー

東京2020大会期間中のTDMの取組等に関するインタビュー

中越運送株式会社

(2021年11月20日インタビュー実施)※一部12月追記

 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」という。)や新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するため、取組を開始しました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、出来る限り出社する人数を少なくする取組を行わなければならなくなりましたが、実際に何をどうやって取り組んでいくか、手探りの状態でした。

人の流れに関する取組――――――――

■オンライン環境を整備

 自社は、運送業であるため、テレワークは殆どできません。現場に関わらない本社の一部の部署で取り組んでいましたが、緊急事態宣言が解除された今(2021年12月)は通常の業務に戻っています。

 月に1~2回、対面で行っていた定例会議や社外の顧客等との会議や打合せ等は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点からオンライン化しました。当初は、上手く接続できなかったり音声が途切れたりするなど、不安や心配が大きかったのですが、自社の管理部が中心となって、オンラインのためのアプリや機器の準備を進めました。

■書類等の電子化を検討

 東京2020大会以前から、区から清掃事業者に対してペーパーレス化に関するヒアリングが行われ、同時に啓発もされていました。このため、できるところはPDF化や裏紙を利用するようにし、紙の消費量を減らすよう取り組んでいました。

物の流れに関する取組――――――――

■取引先との調整によるリードタイムや物量の緩和

 東京2020大会での交通規制や混雑に備え、取引先とリードタイムや物量の調整を行いました。

 お客様あっての物流ではありますが、東京都から提供された各種情報をもとに、取引先に対して「配送できない可能性がある」、「配送が遅れる場合がある」等の説明を行いました。取引先には、「それでは困る」、「通常通りできないか」等の要望もありましたが、何とか理解していただき、リードタイムを1日多くしてもらいました。また、物量についても、前日におおよその量を教えてもらい、車両の準備を行いました。

■東京2020大会期間中の配送ルートの変更

 東京2020大会時は出場選手のバスが多かったため、環状2号線や選手村周辺においては別便等で対応していました。しかし、大会期間中でもそれほど影響がないことが確認されたため、途中で通常の便に戻しています。

■2024問題について

 2024年問題について、自社では5年ほど前から議論を進めています。

 令和2年に、国交省から出された提言書(「2020年代の総合物流施策大綱に関する有識者検討会 提言(案)」(令和2年12月22日))をもとに、取引先等にも提示して理解を求めてきた経緯があります。

 また、輸出入が多い大田区の実績等も提示し、取引先に状況の理解を促すとともに、倉庫業や卸売業に対しても法定遵守を説明してきました。

 これらの取組により、現在では、専用アプリで物量等について事前に把握できる取引先も増え、労働時間や検品の待ち時間、付帯作業の解消については、おおよそクリアされつつあります。

東京2020大会を振り返って――――――――

 東京2020大会の開催が決定し、物流の遅延が起こるのではないかと非常に不安ではありましたが、結果的には無観客となり、首都高速道路も普段より空いている状態でした。

 東京都からリアルタイムで提供された情報は、取引先とのリードタイムの緩和や物量の調整等、大いに活用させていただきました。

今後について――――――――

 リードタイムの緩和や物量の事前把、握調整等は、今後も継続していく方針です。

 運送業界の労働環境については、最悪だった10~15年前に比べると、現在は「ホワイト物流」推進運動の取組が各社で始まっており、これら取組が業界各社で定着していけば、より改善されていくものと感じています。

 書類の電子化については、取引先への請求書等を電子化し、紙媒体での発行や郵送業務をなくしていきたいという方針ですが、現状はまだ検討段階にあります。