令和元年度受賞企業インタビュー
スムーズビズ推進大賞 大賞
東急株式会社
<運輸業, 郵便業>
受賞理由
鉄道事業者として混雑緩和に取り組んできた同社は、時差Bizに初年度から参加。2年 連続で時差Biz推進賞を受賞している。東京2020大会を翌年に控えた今年度はスム ーズビズにも参画し、オフピーク通勤者へのポイント付与など、鉄道利用者への普及 啓発をさらに促進するとともに、自社の働き方改革にも力を入れた。社員の休暇取得 やテレワーク実施にもポイントによる特典を付与するなど、これまで鉄道事業で培って きたノウハウを用いた多様な選択肢と支援策を用意した。
- ●人の流れに関する取組:スマチョポイントを付与し、特典配布/アーリーワーク(朝食提供、ゆう活イベント、グッチョイクーポン)/テレワーク(サテライトオフィス、在宅勤務、ワーケーション)/休暇取得
- ●普及啓発に関する取組:時差Biz臨時列車の運行/時差Biz応援クーポンの配信/朝活講座、グッチョイポイント付与
2019年9月に「東急株式会社」と商号変更し、鉄道事業は同年10月から新たに「東急電鉄株式会社」として分社化された両社で、スムーズビズを積極的に推進した。鉄道利用者に向けては、オフピーク通勤やサテライトシェアオフィスの提供、朝活講座の実施など、「通勤時間帯の多様なスタイルを提案」。また、自社の従業員に対しては、7時30分始業のアーリーワークやテレワーク、休暇取得の促進などにより、「総合的・継続的に柔軟な働き方を選択できるきっかけ作り」を進めた。同社の幅広い取組について、人事領域から下田統括部長・小笠原様、鉄道領域から片貝様、サテライトシェアオフィス領域から野﨑様に話を伺った。
スムーズビズに参加した理由
鉄道利用者のオフピーク通勤支援などによる混雑の分散化、そして従業員の「ワークスタイル・イノベーション」の推進。この2つは、同社がここ数年にわたり取り組んできたテーマである。時差Bizを通して、鉄道利用者や従業員の機運も徐々に高まってきたが、同社はさらに取組を強化しようとスムーズビズにも参加した。
「臨時列車の運行やクーポンの配信など、お客様のオフピーク通勤を支援する取組と、従業員が自ら考え働き方を選択できるよう応援する取組(スマートチョイス)は、スムーズビズと本質的に同じ方向を目指していると考えています」(人材戦略室 下田統括部長)
同社が目指す先にあるのは、混雑緩和と生産性の向上によるイノベーションの創出。スムーズビズは、両者を実現するために非常に有効な手段と考えているという。
取組に当たり苦労したこと
まず、鉄道利用者に対しては、昨年から続き早朝時間帯に田園都市線で「時差Bizライナー」、東横線で「時差Biz特急」の臨時列車を運行。そして今年は、車内にビーコン(発信機)を設置し、臨時列車を利用した方のスマホ内アプリにクーポンを配信。アイスクリームやレモネードなどの必ずもらえる特典を用意し、利用者から好評を得た。その他、二子玉川で朝活講座を開催。「シーン別おもてなし英会話」などの講座があり、朝の混雑時間帯に学んで、ピーク後に通勤というスタイルを提案、実施した。
「混雑緩和は一筋縄ではいきませんが、こういったキャンペーンによってオフピークシフトしてくださるお客さまは多数いらっしゃいます。今後も多様な取組をうまく掛け合わせることで効果を生み出して行きたいですし、継続していくことが大事だと思っています」(鉄道事業本部 片貝様)また、同社ではサテライトシェアオフィス「NewWork」を展開している。契約法人や自社従業員が利用できるもので、現在、直営・提携合せて全国に約150拠点あり、300社・約15万人に利用されている
「この事業として、推進期間中に特別なプロモーションを行ってはいませんが、やはりスムーズビズの影響か、期間前・期間中は問い合わせが増え、利用者も通常の1.4倍に増えました」(サテライトシェアオフィス事業 野﨑プロジェクトサブリーダー)
自社の従業員に対しては、“場所”、“時間”、“服装”、“リフレッシュ”の4つの視点で自ら考えて働き方を選択する「スマートチョイス」を推進。特に期間中は「7時30分始業のアーリーワーク」「テレワーク」「休暇取得」を奨励した。取組を実践するとスマチョポイントが貯まり、ポイント数に応じた賞品がもらえるという特典も設けた。また、組織活性化につながるワーケーションのトライアルイベントとして「テレワークde伊豆」を実施。同社だけでなくグループ会社や他社の社員も合せて約40名が参加したという。
「働き方改革と生産性向上、双方を実現することは、とても難しいです。推進期間はポイント付与などによって総合的・継続的に柔軟な働き方を選択できるきっかけ作りとして効果的でした」(人材戦略室 小笠原様)
東京2020年大会のレガシーを目指す取組
今回のスムーズビズ推進期間中に得られた課題は、社内の各領域の今後の展開に活かされていくという。鉄道利用者に対しては、期間中のキャンペーンだけではなく、年間を通じてどのような施策展開し、いかに継続させていくかがポイントとなる。サテライトシェアオフィス事業は非常に好調で、月に2~3拠点のペースで拠点が増え、海外への展開も検討し始めているという。利用者からは「電話、テレビ会議に対応した個室ブースが欲しい」といった声もあり、ハード面での充実も今後の課題だ。自社の従業員向けの取組では、東京2020大会に向けて十分な予行練習ができたが、更なる働き方改革の浸透と生産性の向上を目指している。これらの課題や目標に対して最適な策を考え、東京2020大会はもちろん、それ以降に向けて取組を進化させていこうとしている。
「“制度”を導入し、“風土”を構築することで、“マインド”を向上させていきます」(人材戦略室 下田統括部長)という同社は、2022年に100周年を迎える。その先にあるのは「生産性の向上によるイノベーションの創出」だ。未来に向けた同社の取組に大きな期待が寄せられている。
スムーズビズ参加者の声
関わった取組
スマートチョイスを実践して、時間を有効活用
夏のスムーズビズ推進期間中は、上司を中心に積極的に活用していこうという雰囲気でした。特に活用したのが、サテライトオフィスを利用したテレワークです。仕事柄、駅ビルに出店しているテナント様との打ち合わせ等で外出することが多いのですが、テレワークで移動時間を有効活用することができました。また、ワーケーションの取組である「テレワークde伊豆」にも同じ部署のメンバー5人で参加しました。リフレッシュできる環境でグループワークを行ったことで、普段よりも活発な意見交換ができました。他部署や他社の方とも話すことができましたし、地元の方から伊豆の駅周辺の店舗と地域の関わりについて話を聞くことができ、とても参考になりました。制度をいろいろ活用したのでスマチョポイントも貯まり、賞品もいただきました。今後も時間を有効に使うことを意識して仕事を進めていきたいと思います。