令和元年度受賞企業インタビュー
スムーズビズ推進大賞 大賞
e-Janネットワークス株式会社
<情報通信業>
受賞理由
テレワークやフレックスタイム制、コワーキングスペースの活用のほか、自社製品の納品方法の変更、製品無償トライアル キャンペーンの実施など、多彩な取組を実践したe-Janネットワークス。社員の約2割が外国籍、多様な働き方を歓迎して いる同社は、スムーズビズに参加することで自社のテレワークなど各種制度を推進し、更なる働き方の多様性を図った。そ の結果、目標値をほぼ達成するテレワーク実施率を実現するとともに、物流削減、自社製品の見直しなど様々な成果を得 ることができたという。今回のスムーズビズ参加とその効果について、経営管理グループ 佐藤様・郁様、企画グループ 堀中 様の3名から話を伺った。
- ●人の流れに関する取組:テレワーク、フレックスタイム制、コワーキングスペース利用
- ●モノの流れに関する取組:物理納品から、メール納品に変更
- ●普及啓発に関する取組:自社テレワーク製品の無償トライアルキャンペーン、自社テレワーク取組の社外発信
トラックドライバー不足が深刻な社会課題となり、今後数年間で約20~30%のトラック輸送力が喪失するリスクに直面 しているという。そんな状況を鑑み、アサヒビールは商品の物流についてリスク回避のための諸策を立案。東京2020オリ ンピック・パラリンピック大会を契機に業界全体が従来の枠を超えて物流効率化に向けて協調することで、WINWINの 関係性を導き出そうと動きだした。同時に、自社の「働き方改革」にも注力。これら活動の内容とスムーズビズとの関連性 について、執行役員であり東京2020オリンピック・パラリンピック本部でロジスティクス関連のトップを務める児玉様、 同本部統括企画部担当部長の遠藤様から話を伺った。
スムーズビズに参加した理由
安全で快適なテレワーク環境をサポートするツール、「CACHATTO(カチャット)」を開発・販売しているe-Janネットワークス。テレワークに密接に関わる企業ではあるが、そこで働くスタッフたちのテレワーク利用頻度は、決して高いものではなかったという。しかし、東京2020大会を来年に控えた今夏、製品を積極活用し、自らもテレワークを推進すべくスムーズビズへの参加を決めたという。「製品PRにもつながりますし、更に、製品にもっとも詳しいはずの社員たちが、積極的にテレワークをすることで、自社製品に必要な+αを見つけ出すこともできるのではないかと考えました」(堀中様)
働き方を見直すだけでなく、ビジネスにもより良い影響を派生させるために、スムーズビズ参加を決めた同社。製品をつくる立場から使う立場になることで、自社が提供するシステムのブラッシュアップを実現することを試みた。顧客が本当に求めるものは何なのか、使う立場になることで見つけ出そうとしたのである。
更に、「スムーズビズをきっかけに、物流面での変化もありました。スムーズビズを経験した自社の動きを俯瞰して今後に活かしたいという思いもあり、活動の総括にも役立つだろうとスムーズビズ推進大賞への応募を決めたのです」(佐藤様)
取組に当たり苦労したこと
昨年の、同社は5日間のテレワーク推進日を設けたが、単に参加の呼びかけを行うにとどまったせいか、実施率は37%ほどだった。その際に実感したのは、周知徹底の重要性だ。「そこで今夏は、気合を入れて準備期間を設けました」(佐藤様)
スムーズビズ推進期間の2カ月前から、取組の計画を立て、下準備を開始。全社に向けて複数回、その活動の意義を訴える説明会も開催した。その際、社員のおよそ2割が外国籍ということもあり、英語での説明会も催して、徹底した周知を行なったという。「当社は、働き方においても多様性を重視しています。全社を挙げて1つのことに取り組むというのは、『逆に多様性を否定しているのではないか』という意見もありました。しかし、『働き方の選択肢を増やす取組なんですよ』と、丁寧に説明をし続けて、場合によっては個人の面談も実施しました。推進メンバー総出で、地道に取組に向けた環境づくりをしていったのです」(郁様)
物流に関わるお客様への周知も徹底した。納品の際、DVD等のメディアとライセンス情報等の記載された紙(ライセンス証明書)で製品提供を行ってきた同社では、メール納品に切り替えるにあたり、まず販売パートナー企業の認知を得て、次にユーザーとなるお客様へ製品提供方法の変更についてのお知らせを送り、スムーズな移行を図っていった。
東京2020年大会のレガシーを目指す取組
スムーズビズ推進期間終了後に行った社内アンケートからは、今後のテレワーク活用に向けての課題がいくつか見つかった。すぐに解決できるもの、解決に時間がかかるものがあるが、それらを一つずつ解決していくことは、会社にとって必ず糧になるという。何よりも、見つけた課題の一部には、今後の製品改善につながるヒントとなるものもあった。それを受けて、近く自社製品に新たな仕組みを追加する予定だ。
「課題のひとつはパソコンなどシステム環境の問題、二つ目は管理規定、ルールをどう現状に適合させていくか。そして、社内風土や空気感の改善です。環境が整い、ルールが明確化されても、今後もテレワークをはじめとした活動を継続していこうという気概がなければ、最終的には成果が出ないと思います」(堀中様)
「全ての課題をクリアするのは難しいことですが、少なくとも来夏までには大きな課題を解決し、社員がより働きやすい環境をつくっていきたいですね」(佐藤様)
「頑なにテレワークを否定していた外国籍の社員が、今では『毎日テレワークでもいいね』と言っています。今回の取組で、働き方の選択肢を増やすことができたのではないでしょうか」(郁様)まずは、冬のスムーズビズ実践期間に向けて、もう一度集中的にテレワークを実施しようと計画中だ。
スムーズビズ参加者の声
関わった取組
コワーキングスペースでのテレワーク
自宅は実家でペットを飼っていることもあり、在宅ではなくコワーキングスペースでのテレワークを選択、挑戦しました。営業事務を担当しているため紙資料を使用することも多く、 テレワークにはあまり積極的になれずにいたのですが、当社がスムーズビズに参加を決め、一部制度を変化させたことが良いきっかけになりました。実際の業務では自社製品を 活用、ノートパソコンも会社のパソコンと同じ画面で作業ができる環境を整えられたので、特に困惑するようなことは起こりませんでした。
今回はコワーキングスペースという、比較的業務に適した場所でのテレワークでしたが、今後は自宅でもテレワークを試してみたいですね。何より、朝の満員電車に揺られなくても 済むというだけで、素晴らしい取組だなと思います。今後はより一層、テレワークの頻度をあげていくつもりです。