令和元年度受賞企業インタビュー
スムーズビズ推進大賞 大賞 特別賞<フューチャー賞>
MINDS (10社連携)
受賞理由
1980年代半ばから2000年代初頭までに生まれた、いわゆるミレニアル世代の社員を中心に業界の枠を超えて集まり、これからの社会の中での理想の働き方を考え、その実践を目指すMINDS(Millennial Innovation for the Next Diverse Society)。多様性あるコミュニティで創造性を高め、日本社会のイノベーション創出に対してNew Work Style を実行することで、従来の働き方の仕組みや考え方を大きく変えていく。そんな新しい発想で取組を進めるMINDSの今後の展開に期待が寄せられた。
- ●人の流れに関する取組:都内交通緩和を民間企業に広げるための施策として異業種でワーケーションを実施し、各社にフィードバック
- ●普及啓発に関する取組:会社の垣根を越え新しい気づきを提供する場を自身が“チョイス”して学習することを促すワークショップを異業種で実施
「異業種の企業に所属するミレニアル世代の社員が集まり、これからの時代に向けた理想の働き方を実践し、その学びを自社や社会に還元していく」ことを目的に、2019年1月1日に発足したMINDS。スムーズビズ推進期間時点でのメンバー企業は、味の素株式会社、auカブコム証券株式会社、株式会社電通デジタル、日鉄興和不動産株式会社、日本航空株式会社、日本マイクロソフト株式会社、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社、東日本旅客鉄道株式会社、三菱地所株式会社、三菱自動車工業株式会社。業界、会社の枠を超えたミレニアル世代から日本社会に発信する多様性ある働き方とは何か、MINDS コミュニティリーダーの山本築様に話を伺った。
スムーズビズに参加した理由
今、多くの企業が取り組んでいる働き方改革は、社会が大きく変革していく中で、企業が生き残っていくための重要な戦略であり、関わる人全員で取り組んでいくべき課題だ。しかし、従来通りの発想をベースにしていては、多様化する個々人の働き方に対応できない。これからの時代を担っていくミレニアル世代が中心となり、自分たちで考え、満足できる働き方を提案し実践してくために、日本マイクロソフトが発起人となって2019年1月1日に発足したのがMINDSである。
「ミレニアル世代は、2025年までには世界の労働人口の75%を占めると言われています。この世代が中心となって社会に提言していく必要があるという思いで、MINDSを立ち上げました」(山本様)
2019年1月中旬に第1回目の全体定例会を開きディスカッションを行い、「Mission:すべての個人が自分らしく働く社会を実現する」「Vision:業界、会社の枠を超えたミレニアル世代から多様性ある働き方を日本社会に浸透させる」という方向性を定め、具体的な活動に入っていた。そのような時に、スムーズビズの取組を知ったという。
「労働人口の減少という避けられない未来が待ち構えている日本で、生産性向上を目指すための多様な働き方を受け入れ、テレワーク等を広めていくことは欠かせないことです。スムーズビズとMINDSの取組シナジーはここにあるとの思いで、参画をしました」(山本様)
取組に当たり苦労したこと
発足以来、月1回の定例会を行うことで、何をどうするべきかが見えてきた。メンバーたちの同意のもと「やりがいのある仕事に就きたい:もっと自由に多様な人と交流して新しい仕事をしたい。縛られずに自由に自分しかできない仕事をしたい」「自由な働き方の選択へ:もっと自由に仕事をする。場所に囚われない楽しく自由に働く職場」の2つが、活動の大きな軸となった。
「それらを実現していくために、5つの分科会を立ち上げました。業種も職場も違うメンバーなので、取り纏めて具体的な形にするまでが大変でした」(山本様)
数々のアクションの中で、時間・場所に制約されない柔軟な働き方として取り組んだのが、ワーケーション。これまでのテレワーク(在宅勤務)から一歩進んで、帰省先や旅行先など場所を制限せずに認める新しい働き方だ。8月に和歌山県南紀白浜で実施し、ワーケーションを実施している方へのヒアリング、異業種メンバー自らのワーケーション体験、ディスカッション等が実施された。その結果、時間や場所から解放された環境に身を置いても生産性に影響は少なく、同じ時間、同じ場所で働かなければという固定概念がテレワークの利用を阻んでいると結論付けた。このような検証結果は、メンバー各自が持ち帰り、自社やビジネスで関わる企業等に広く発信していくという。その他にも、スムーズビズ推進期間中の取組として、M I N D S 参加企業( 1 0 社)で異業種座談会や、ワークショップなどを実施したという。
東京2020年大会のレガシーを目指す取組
多くの企業が東京2 0 2 0 大会に向けて準備をしている中で、MINDSは大会後の働き方も見据えている。
「大会期間だから混雑回避のためにテレワークをして、無事に終わったね。というだけでは、意味がないと思うのです。その期間に生産性がどれだけアップしたのか、またダウンし た場合はどんなケースだったのかを、しっかり検証して次に活かしていく必要があります」(山本様)
少子高齢化の日本では、今後、会社組織はコミュティ化していき、仕事はプロジェクト化していくだろうと指摘する山本様。社会に必要な仕組みを集まった異業種メンバーで共創し、そこで展開する商品やサービスはそれぞれが競争していく。これからの時代は、そうしたビジネススタイル、ワーク スタイルになるだろうという。
そんな環境を見据えて、MINDSは5つの分科会で、「時間・場所に制約されない柔軟な働き方」「わくわく学び続けるマインドセット」「一生一社でない柔軟な所属の仕方」「一次元でない多次元的な評価軸」「多様な“チョイス”できる働き方のモチベーション」という5つのテーマに取り組んでい る。新しい働き方をレガシーとして次の世代につなげるために、従来にはない働き方を提案し検証し浸透させていくMINDSの今後に期待がかかっている。
スムーズビズ推進者の声
関わった取組
MINDSの発起人として、メンバーをリードする
MINDSの発起人として、コミュニティリーダーを務めました。立ち上げは苦労しましたが、組織をまとめていくことで、リーダーシップやモチベーションマネジメントに関してとても勉強になりました。当社においては、場所や時間に制約のない働き方をしていますが、パラレルキャリアが次世代の常識になればと、MINDSメンバー企業での社外インターンに取り組むなど、私自身も様々な働き方に挑戦しました。若い世代の新しいメンバーを中心とした世代交代も考えていますし、今年はMINDSに参画していない企業とのつながりも視野に入れて取り組んでいきたいと思っています。