東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開会式まで、389日となった7月1日(月)、下記の要領で、テレワーク・デイズ2019&スムーズビズ推進期間プレイベントが開催された。
当日のプログラム
- 日時 令和元年7月1日(月)15:00~17:00
- 会場 イイノ・ホール
- 主催 総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府、東京都
- 共催 一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、東京商工会議所、経済同友会、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会、一般社団法人日本テレワーク協会
フォトセッション
イベントの開催に先立ち、フォトセッションが行われた。主催・共催者や、登壇者等がステージ上に整列し、和やかな雰囲気の中で撮影が終了した。
周知動画紹介
初めに、テレワークや時差出勤、物流の効率化などを実施している企業でいきいきと働く社員達をイメージして作成された「スムーズビズPR動画」、テレワークを活用し柔軟に働く社員をイメージして作成された、「テレワーク・デイズ周知動画」が初公開された。放映後、動画に出演しているテレワーク・デイズ2019推進キャラクターを務める女優の桜井日奈子さんから「テレワーク・デイズ、スムーズビズの成功に向けて、私が少しでもお役に立てていたら嬉しいです」と挨拶があった。
主催・共催者挨拶
石田総務大臣挨拶 (ビデオメッセージ)
2020東京大会を来年に控え、今年は大会期間に合わせ7月22日から9月6日をテレワーク・デイズ2019として実施し、交通混雑のない円滑な大会運営を目指していくことについて紹介があった。また、大きな変革の時代を迎えている中、テレワークやサテライトオフィスの活用は、ゆとりある豊かな生活を実現する機会にしていただきたいと語った。最後に、「より多くの方にテレワークを実施いただき、参加いただく皆さまとともに仕事も生活も充実できる社会の実現に向け取り組みたい」と挨拶を締め括った。
世耕経済産業大臣挨拶 (滝波宏文政務官 代読)
東京オリンピック・パラリンピック前、最後の今年は、テレワーク・デイズ2019の日数と規模を拡大し、延べ60万人、3,000社の団体企業の皆様の参加目標を掲げ、確実な達成に向けた協力を参加企業に呼びかけた。加えて、“労働の質の向上”“イノベーションの創出”“交通混雑の緩和”というテレワークの3つの意義についての紹介があり、予行演習期間のこの夏は、テレワークを習慣として根付かせるチャンスであると語った。最後に、「テレワークが来年の東京オリンピック・パラリンピック大会の成功に貢献できるように、また大会のレガシーとなるように、大会前最後のテレワーク・デイズを官民挙げて成功させましょう」と挨拶を締め括った。
鈴木東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣挨拶
東京2020大会期間中の、選手や観客の皆さまの円滑な輸送の実現と経済活動・市民活動との共存に向けて、交通量を減らしていく取り組みが必要と呼びかけた。そのため、今年の7月22日から、テレワークや時差出勤、休暇取得による通勤時の公共交通の利用削減、物流における配送時間やルートの変更、高速道路の料金所の開放レーンの数削減や一部の入口閉鎖など道路交通量の削減にも取り組むといった、本番並みの目標を掲げて交通対策のトライアルを行う予定であると紹介があった。
最後に、「政府は今月24日に5割の職員がテレワークなどを実施し、率先して交通対策のトライアルに取り組みます。本日ここにお越しの方々をはじめ、経済界、また国民の皆さまにおかれても、トライアルへのご理解ならびにご協力をお願いしたい」と挨拶を締め括った。
一般社団法人日本経済団体連合会
篠原弘道・デジタルエコノミー推進委員長副会長挨拶
続いて、共催者を代表して経団連の篠原弘道 副会長・デジタルエコノミー推進委員長より、ホームページでの各社アクションプランの事例公表などの経団連の働き方改革の取組や、柔軟な働き方の実践に向けての事例紹介があった。「経団連もテレワークを国民的な運動として盛り上げていきたいと考えている。テレワーク・デイズ2019の成功、そしてテレワークが来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を大いに盛りあげることを祈念している」と締め括った。
その後、司会の代読により、厚生労働省大臣および国土交通大臣のメッセージが披露された。
●根本厚生労働大臣
「テレワークは、ワーク・ライフ・バランスの実現や、業務の効率化等に資するものであり、“働き方改革”を実現する上で、その普及は極めて重要である。厚生労働省では、“働き方改革実行計画”に基づき、昨年2月に刷新した、テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドラインの周知を行っている。多くの企業の方にテレワーク・デイズに参加いただくとともに、適切な労務管理の下でテレワークを実施することで、良質なテレワークの普及が加速していくことを期待したい」
●石井国土交通大臣
「テレワーク・デイズ2019は、東京大会本番に向けた最終リハーサルとして非常に重要な取り組みと認識しており、関係府省と連携して、関係業界へ参加を働きかけるとともに、鉄道事業者を通じた広報活動等に努めている。また、国土交通省は、東京大会の円滑な実施・成功に向け、テレワークの推進のほか、大会関係者や観客の円滑な輸送対策、バリアフリー化の推進、外国人旅行者の受け入れ環境の整備等の取組も進めている。今後も引き続き、テレワークの普及促進に向けた機運が一層高まることを祈念している」
パネルセッション
ここからは、モデレータに、株式会社テレワークマネジメント 田澤 由利様を迎え、パネルセッションが行われた。3つのテーマに分かれて、合計15の企業・団体の担当者が登壇し、今夏の取組を紹介した。
セッション1 「人の流れを変える働き方改革」
向洋電機土木株式会社
広報部CHO部長 横澤 昌典様
建設現場にある建設事務所に、ICT機器をそろえることで、サテライトオフィスとして活用し、低コストで運用することができます。当社では、こうして、20カ所以上のサテライトオフィスや10年前から実施しているテレワークによって、コスト削減や売上倍増を実現し、売上や社員は2倍、女性社員は13倍になりました。
住友商事株式会社
人事厚生部主任 武藤 千明様
当社のテレワーク制度として、国内単体勤務者4,000人を対象に在宅勤務・サテライトオフィス・モバイルワークの3形態を導入しており、全社員が利用可能です。今年は「テレワーク・デイズ2019&スムーズビズ推進期間」と併せまして、独自に「Workstyle Transformation2019」と題し、この期間中に全社員、一律3回以上テレワークを実施すること、またコア日には組織の50%がテレワークを実施することを必達の目標に掲げています。
トヨタ自動車株式会社
オリンピック・パラリンピック部部長 伊藤 正章様
当社では、来年の東京2020大会期間中のスムーズな交通に貢献するために、東京地区勤務者を対象に、原則全員在宅勤務や、ボランティア・自己研鑽目的の休暇取得を推進することを検討しております。
まずは、今年7月24日を含む計4日間、東京地区勤務者を対象に、終日在宅勤務のトライアルに取組みます。また、スムーズビズと連動させながら、従業員の健康や社会参画を促進することを目指す活動も進めていきます。
富士通株式会社
人事本部人事部シニアディレクター 佐竹 秀彦様
当社は2010年から働き方改革に取り組み、2017年には、全社員を対象としたテレワーク勤務制度を導入しました。今年は、東京オリンピック・パラリンピック大会本番の予行演習として、大会時の重点取組地区に勤務する2万8,000人の社員を対象に、1週間連続テレワークを推進します。来年の大会本番の期間中は、夏休みの取得促進と1週間連続テレワークの実施を行うことによって、最も混雑が予想されるオリンピック期間中、重点取組地区への社員の流入7割減を目指します。
三井住友海上火災保険株式会社
人事部企画チーム兼働き方改革推進チーム課長 荒木 裕也様
東京2020大会に向けてテレワークを進め、従業員2万人を対象に様々なデバイスや、アナログな準備をしてきました。今年は「働き方改革ステップアップ2019」として、出退社時間や直行直帰、在宅勤務、休暇などが一目でわかる卓上POPの活用によって、テレワークで職場にいない社員とも効率的にコミュニケーションが取れる組織風土の醸成を進めています。また、スムーズビズ推進期間には、本社の約5,500人が時差出勤などに取り組みます。
セッション2 「物の流れを変える業務改革」
アサヒビール株式会社
専務取締役 マーケティング本部長 松山 一雄様
東京2020大会期間中は、ビールの最盛期であり、年間平均に対して3割から4割の物量の増加が見込まれます。大会の円滑な運営支援を目的に、期間中は1都4県において、交通量が多い朝から夕方の時間帯に走行する大型トラックの台数を3割以上分散・削減する取り組みを進めています。 また、人の移動では、すでに導入しているフレックスやテレワークの運用制度を深化し、社員がより活用しやすい環境を整え、大会本番を迎えていきたいです。
味の素株式会社
物流企画部シニアマネージャー 金子 憲之様
必ず発生するBCPとして、発着荷主・物流会社が協力してアクションプランを作成・準備することでサプライチェーン、物流オペレーションの円滑化を図っていきます。また、エリアごとに配送難易度に応じて、パレット納品の促進や、翌々日納品、納品時間のシフトなど適切な対応を実施していきます。東京2020大会期間、そして大会以降もこうした施策の定着に向けた取組を推進していきます。
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
QC・物流管理本部 物流部東日本物流管理 副総括マネージャー 鷲野 博昭様
今年の6月のG20大阪サミットでは、交通規制等の状況を把握し、配送便の集約や納品時間枠の拡大などを行うことで対応しました。また、ドライやフローズンなど商品の特性に応じて配送頻度の変更や、深夜時間を有効に活用した配送を実施しました。共同配送センターとは「2020東京プロジェクト」をキックオフし、東京2020大会時に影響が予想される約500店舗規模の課題整理を行い、仮説構築を実施し、大会本番につなげていこうと考えています。
東京ガス株式会社
東京2020オリンピック・パラリンピック推進部部長 八尾 祐美子様
当社は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のパートナーとして、東京2020大会の成功はもちろん、その先の働き方改革というところを見据えて、社内ではTDM分科会を立ち上げています。それぞれ「人の流れを減らす」「物流を減らす」「業務を減らす」という切り口で議論・見直しを進めています。人の流れについては、休暇の促進や、サテライトオフィスの活用、時差出勤などを行っています。物の流れについては、社内で使用する備品などの発注時期の変更や、液化天然ガスなどの輸送ルートを状況に応じて変更するといったことを行っています。
セッション3 「新たな動きを創る社会改革」
WeWorkJapan合同会社
ヴァイスプレジデント 広報・渉外統括 日高 久美子様
当社は、コミュニティ型ワークスペースを運営・提供している会社です。皆様の様々なスタイルに合ったワークスペースや、各コミュニティ間でのネットワーク構築、無料のコーヒーやお茶の提供、会議室及びイベント参加登録やメッセージ機能を備えたメンバー専用アプリなどのテクノロジーを提供しています。こうした、「ワークスペース」、「コミュニティ」、「サービス」、「テクノロジー」の4つを柱に、ワーク・ライフ・バランスや日本の働き方改革を支援し、コミュニティの多様性を促進しています。WeWorkはテレワークに係る実施ノウハウ、ワークスペース、ソフトウェア等を提供する団体、およびワーケーションを支援する団体である応援団体として「テレワーク・デイズ2019」に参加し、7月22日(月)~ 8月30日(金)の期間、4つの対象WeWork拠点を無料で利用いただけるトライアルキャンペーンを実施いたします。
愛媛県西条市
副市長 出口 岳人様
西条市では全国的にも珍しい事例として、小中学校の教職員向けのテレワークを実践しています。育児や介護などによる教職員の負担軽減、校務の省力化を実現するために、教育現場にテレワークを導入しました。その結果、全教職員の60%がテレワークを活用し、そのうちの大半の方々から「今ではテレワークはなくてはならないもの」との声をいただいております。今後も引き続き西条市として、教職員を対象とした働き方改革、ライフ・ワーク・バランスの向上に取り組んでいきます。
シスコシステムズ合同会社
執行役員SMB・デジタル事業開発兼東京2020マーケティング担当 鎌田 道子様
当社は、ICTの総合機器ソリューションメーカーとして、ロンドンオリンピック、リオデジャネイロオリンピックでネットワーク機器スポンサーを務めました。特に2012年のロンドンオリンピックではテレワークの活用が進み、その後の経済効果も非常に高かったと言われています。テレワーク導入推進コンソーシアムでは、300名以下の中小企業などを対象に、すぐにテレワークを実施できる「スマートテレワークパッケージ」の提供をしています。東京2020大会に向けた展開ができるように全社一丸となり取り組んでいます。
株式会社セールスフォース・ドットコム
公共・公益担当常務執行役員 関 弘毅様
当社は、2015年より和歌山県白浜町でテレワークを実施し、そこで培った経験やノウハウを自治体に紹介してきました。「柔軟な働き方の提案」「地方自治体と協業した生産性を高める働き方」「デジタル人材育成」などに取り組みながら、テレワーク・デイズ2019を契機に自社のテレワークを更に強化し、地方自治体との協業による地方創生にも貢献していきたいと考えています。
東京急行電鉄株式会社
鉄道事業本部常務執行役員鉄道事業本部長 城石 文明様
テレワーク・デイズ2019およびスムーズビズの期間中、時差Bizライナーと時差Biz特急を運行します。この列車に乗車いただいた方に、アイスクリームやレモネードを配布するキャンペーンを実施いたします。また、東急線アプリを活用した30種類のクーポン配信や「スムーズビズ応援!朝活講座」などを行い、オフピーク乗車を促進していきます。また、自社の取組としても、アーリーワーク(分散出社)などの奨励によって、時差Bizやテレワークを促進し、東京2020大会中の対応につなげていきます。
日本マイクロソフト株式会社
MINDS(マインズ)コミュニティリーダー 山本 築様
当社では、いろいろなマインド、多様性ある考えが集まって複数形になり、ミレニアル世代、デジタルネイティブ世代から、新しい働き方を異業種連携でまき起こしていくため、現在9社の皆様と連携して、MINDS(Millennial Innovation for the Next Divers Society)というコミュニティ活動を行っています。全ての個人が自分らしくいきいきと働ける社会の実現を目指し、今年のスムーズビズ推進期間中にテレワークなどの効果測定を行いミレニアル世代から新しい働き方を提言していきます。
各企業の発表が終わるごとに、モデレータから今夏の取組についての具体的な問いかけなどがあり、企業の担当者が答えることで参加者の理解が深まった。
2019 夏の取組に向けて(知事挨拶)
最後に小池知事から「2019夏の取り組みに向けて」と題した挨拶があった。 今年は大会前の最後の夏、今月の7月22日から9月6日までをスムーズビズ推進期間とし、先進事例を参考にしながら人や物の流れを変える取組を実施していただきたい。そして最初の1週間をチャレンジウィークとし、7月24日をコア日、そしてコア日の前後も集中的に取り組んでいきたいと、参加した企業に一層の協力を呼び掛けた。また、都は、アクションプランの作成をお手伝いするコンサルタントの派遣や、テレワーク導入時の補助制度なども用意して、皆さまの取り組みを後押ししていきたいと考えている。都としても、「隗より始めよ」ということで、期間中の重点的な取組として、「都庁の完全オフピーク」や、「出勤者の抑制」、「全員テレワーク」などについてを公表した。
「2020東京大会の成功、そして経済活動の円滑な実施、この2つの大義を皆さま方の共感を得ながらスムーズビズを進め、結果として働き方が変わるレガシーにしていきたいと考えています」と挨拶を締め括った。